中学記録連続更新の衝撃

ところが、2021年11月に強風の吹き荒れる悪条件下のレースで8分44秒77と、8分台に突入すると、一冬を越え、昨春に一気にその才能が開花した。

遠藤が持っていた福島の3000mの中学記録(8分31秒26)を上回るパフォーマンスを春先から連発する。

そして、昨年8月10日の東北中学校陸上大会では、ついに8分15秒04の日本中学記録を打ち立てた。

その9日後に、増子の地元・福島で開催された全日本中学校陸上競技選手権(以下、全日中)は、5位までが大会新記録というハイレベルなレースになったが、地元開催のプレッシャーも跳ね除けて、見事、日本一に輝いている。

衝撃はさらに続く。

10月、3年ぶりに開催された国体には少年男子B3000m(少年Bは中学3年、高校1年世代のカテゴリー)に出場。

高校生の鈴木琉胤(千葉・八千代松陰高)と濵口大和(長野・佐久長聖高)には離されたものの、増子は第2集団を引っ張り、自身の中学記録をさらに更新。8分11秒12まで記録を伸ばした。

中学陸上界はドルーリー朱瑛里だけじゃない! 男子にも“スーパー中学生”あり。全国男子駅伝は新記録連発の増子陽太に大注目_2
とちぎ国体で中学新記録を出した増子陽太(手前)
すべての画像を見る

増子が塗り替える前までの中学記録は、石田洸介(現・東洋大)が2017年にマークした8分17秒84。増子はその記録を一気に6秒以上塗り替えたというわけだ。

ちなみに、国体では鈴木と濵口が高校1年歴代1位、2位の好記録をマークしたが、増子の記録も高校1年の記録でも歴代3位に相当する。もはや中学生の枠に収まらない選手と言っていい。