男女混合のホステルで起こった夜の出来事

33歳・会社員の川島さん(仮名)は13年前、20歳のときの春にサッカー観戦のためドイツを訪れ、ベルリンのユースホステルに泊まることにした。

日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、ユースホステルとは旅行者向けの安価な宿泊施設のことで、相部屋となる寝室や共用の設備があり、若者やバックパッカーなどがよく利用する。そのホステルがバックパッカー同士の交流の場となっていることも特徴だ。

川島さんは当時、こういった宿に泊まりながら海外を周っており、その日も飛びこみで宿を決めることができ、部屋へと向かった。

しかしこのホステルは、川島さんが普段使う部屋とは少し違っていた。というのも、“男女混合”の相部屋だったのだ。

ユースホステルのイメージ画(写真/Shutterstock)
ユースホステルのイメージ画(写真/Shutterstock)

「私はこれまで、かれこれ100回以上はこういったホステルに泊まっていますが、男女混合の部屋だったのは全部あわせても3回くらい。それだけ、男女混合という部屋は珍しいのです」(川島さん、以下同)

同部屋の宿泊客とそれぞれ挨拶をしたところ、川島さんを入れて男性6人、女性は2人で、国籍はヨーローッパ系が多数。年齢は川島さんと同じく、20歳そこそこの人が大半だった。

8人部屋は満員で、夕方に部屋に到着した川島さんは、早い者勝ちで選ばれるため、ベッドの選択肢もなく、二段ベッドの上段へ。その日は疲れていたこともあり、シャワーを浴びてすぐに眠りにつくことにした。

だが早朝、あんなに疲れていたはずなのにふと目が覚めてしまった。というのも、地震が起きているかのごとくベッドが揺れていたからだ。川島さんはとっさに身体を丸めたが、今自分がドイツにいたことを思い出す。ヨーローッパの中でも特にドイツは地震が少ないことで有名だ。

それに、この揺れはいつまでたってもおさまらない。ここで、川島さんはあることを察する。