マンションの新しい所有者から届いた、あり得ない通知書

「ポストに書面1枚だけ投げ込まれ、家賃を3倍近く値上げすると書かれているのを見たとき、新しい“オレオレ詐欺”かと思いました」

こう憤るのは、東京・板橋区に住む40代の男性サラリーマンである。

男性が住んでいるのは、池袋駅から電車で10分ほどの駅から、徒歩5分の7階建て賃貸マンション。駅周辺の街並みはまだまだ古く、昭和の香りを残した安い居酒屋、バーも多い。その環境が気に入り、すでに15年近く住んでいる。

男性が住むマンション(写真/集英社オンライン)
男性が住むマンション(写真/集英社オンライン)
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異変があったのは今年の1月23日のことだ。

「家賃値上げの通知書」――1階の集合ポストに、こう題された男性宛ての書面が入っていた。読むと、マンションの土地・建物の所有者がA社に替わったと書かれていた。

そしてこれまでの家賃7万1500円から、実に3倍に近い「19万円に値上げする」と通知してきたのだ。通知書には以下のようなことが書いてあった。

<公共料金をはじめ諸物価の上昇に伴い、諸費用が増加してまいりました。当方といたしましては、極力値上げをしないよう今日まで維持管理にあたってまいりましたが、止むを得ず値上げせざるを得ない状況となりました>

男性に届いた通知書(写真/集英社オンライン)
男性に届いた通知書(写真/集英社オンライン)

A社は所有者になったばかりなのに、<極力値上げをしないよう今日まで維持管理にあたってまいりました>はおかしい。

しかも家賃を値上げする根拠として、<近傍類似の賃貸物件の賃料も参考にした>と書かれていた。

男性が住むマンションは、築45年の鉄筋コンクリート造で、部屋は約30平米の1DK。近隣の部屋の相場は6万円~8万円程度で、19万円への値上げはとても妥当とは思えない。

「すぐにマンション管理会社に電話しましたが、値上げ通知が行なわれたことを知らず、困惑していました」(男性)

そこで男性は、A社のことを調べてみた。

「この会社は中国人が代表ですが、本社を転々として、何をしている会社なのかまったく分かりませんでした」(男性)