田中、上原、吉見…制球型投手は「球威・球速」が絶対必要

球界トップクラスの平均球速と制球力で2011~13年は向かうところ敵なしの投球を見せ、ヤンキースのエースとしても活躍。

かつての田中将大といえば、ズバ抜けたコントロールと決め球のスプリットで奪三振の山を築き、渡米後はクレバーなピッチングも覚えていった。

それでも近年は思うような活躍ができていない。日本復帰初年度の2021年は4勝に終わると、2022、2023年の負け数はリーグ最多。昨年に至ってはシーズン最終盤に1度登板したきりで、自身のプロのキャリアにおいて初めて未勝利に終わった。

そんな苦境の中で移籍したのが巨人というだけあって、いやが応にも注目を集める今シーズン。これまで百戦錬磨の田中も、現在はプロの打者を抑えるための最低限の「球威・球速」が足りていないのは年齢的にも明確だ。

そして、田中のようなコントロール型の投手はその最低限の「球威・球速」がないと打ち込まれるケースが増えてしまうのだ。

移籍後初勝利を挙げ、ウイニングボールを手に笑顔の田中将大(写真/共同通信社)
移籍後初勝利を挙げ、ウイニングボールを手に笑顔の田中将大(写真/共同通信社)

たとえば、圧倒的な制球力を誇り、球速以上に速く感じさせる球質を持っていた上原浩治(元巨人ほか)も、140キロ未満という水準以下の球速だった2008年のシーズンは、キャリアワースト(当時)となる防御率3.81と打ち込まれた。

さらに同タイプの吉見一起(元中日)も、2013年にトミー・ジョン手術を受けてからはエースとして求められる水準以下の球速となってしまい、自慢のストレートは打者の餌食に。以降、全盛期のピッチングを取り戻すことはなかった。

田中が近年、満足な投球ができていないのも、同じく球速が全盛期と比べて遅くなっているからだろう。

すでに、メジャー晩年の2020年からストレートの球速が落ち始め、投球術でかわすピッチングが目立っていた。NPB復帰後もそれは変わらなかったが、ここ数年、NPB投手全体の平均球速が高速化したこともあり、田中は打順一巡目で限界を迎えるケースが多かったのだ。