歴代1〜3位がいる逸材ぞろいの世代

ただし、注目の男子中学生は、増子だけに限らない。全日中の3000mが5位までが大会新記録だったことからもわかるように、増子のライバルにも好選手がずらりとそろう。

まずは山形の菅野元太(山形十中3年)。増子が最初に中学記録を更新した東北大会で、最後まで競り合ったのが菅野で、彼もまた従来の中学記録を上回る8分15秒21をマークした。12月の全国中学駅伝では、3区で区間新記録を樹立し、最優秀選手賞にも輝いている。

全日中で増子に次いで2位だった兵庫の新妻遼己(平岡中)は、国体でも増子に敗れ4位だったが、8分16秒78の好記録をマークしている。この記録もまた、前年までであれば中学記録だ。

つまりは、3000mの日本歴代1位、2位、3位が、この学年にそろっているということだ。

新妻の双子の弟・昂己も底力がある。全国中学校駅伝では、1区・遼己、6区・昂己と、そろって区間賞を獲得している。

これほどの逸材がそろう中で勝ち続けるのは、増子といえども、決して簡単なことではない。

それでも、増子は“速さ”だけでなく“強さ”をも備えた選手で、積極果敢なレース運びが大きな魅力だ。

1月22日12時30分に号砲が鳴る。

その前に“増子陽太”の名前を覚えておいてほしい。

取材・文/和田悟志
写真/共同通信