ライブ配信中に突然男に刺された人気ライバー
警視庁によると女性は20代で、路上を1人で歩きながら動画をライブ配信中に男にいきなり刺されたとみられる。警視庁は現場で血のついたサバイバルナイフ(刃渡13センチ)を押収、男は他にもナイフを持っていた。
男は直前に女性とトラブルになったという趣旨の話をしており、女性を刺したことを認めながら「殺そうとは思わなかった」と供述しているという。警視庁は容疑を殺人に切り替えて調べを進める方針。
現場はJR高田馬場駅から南西に約400メートルの線路脇の住宅街。付近にはたくさんの専門学校やスタジオなどがあり、事件直後は付近一帯が騒然となった。
被害者は「ふわっち」という投げ銭システム付きの動画配信アプリで「最上あい」名義で知られる人気ライバーで、『3.11山手線徒歩1周』のタイトルでライブ配信中の出来事だった。
このため、ネット上に被害者とみられる女性が路上で横たわっている姿の写真が流れるなど、SNS上も騒然となった。
現場付近にオフィスがあるという50代の会社役員の男性は当時をこう振り返った。
「9時50分くらいでしたかね、『ギャー! 助けてー』という女性の叫び声が10秒以上続いたんです。びっくりして会社の窓から外を覗いたらグレーのズボンをはいた女性が倒れていて、ピクリとも動かなかった。
女性の足元のあたりには黒ずくめ格好をした男がいて、落ち着いた様子だったので、私はてっきり交通事故かなにかで倒れた女性をその男性が救助しているように見えました。
10分くらいすると救急車とパトカーが到着し、黒ずくめの男は警察官に連れて行かれましたが、抵抗する様子も全くありませんでした」
近くで作業中だったという建築業の30代男性は興奮気味にこう語った。
「外が騒がしいので出てみると、15メートルぐらい先の路上に女性が仰向けで倒れていました。顔、体、上着、ズボンなどいたるところから血が流れ出ていて、意識もない状態で目をつむっていました。そのすぐわきには中肉中背で全身黒ずくめの40代くらいの男が佇んでいました。
男は道路に落ちていたその女性のモノらしきスマホを手にとって何度か顔の前に向けたり、少し上を向くなどしていましたが、暴れるようなことはありませんでした。
まもなく警察が来て、『やったのは誰だ?』みたいな声が聞こえて、その男はすんなり認めたかんじで抵抗することなく警察に連行されていきました」
ライブ配信アプリとはトークや音楽、ゲームなどをリアルタイムで配信できるアプリで、視聴者は配信者にリアルタイムでコメントすることができ、コミュニケーションを楽しめることから人気が高まっている。
配信者は10代〜20代の若い女性も多く、ライブ配信中にアイテムを送ることで「投げ銭」を得て稼ぐことができる。中でも「ふわっち」は、地上波テレビ番組やCMへの出演権をかけたイベントが定期的に開催され、配信者同士で投げ銭の額を競い合い、上位入賞者のみ出演権を獲得できる仕組みになっている。
中には、1日に100万円以上投げ銭する視聴者もいるといい、警視庁は「最上あい」さんと容疑者の男の間にこのライブ配信の投げ銭などを巡るトラブルがあった可能性があるとみて、調べを進めている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班