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インフレを引き起こした真犯人は誰だ?
――2020年からこれまでに起きた出来事を振り返ってみると、新型コロナの流行、ウクライナ戦争、歴史的なドル高円安、物価高などが挙げられます。このような流れのなか、米国は約40年ぶりの激しいインフレに見舞われました。ロシアのウクライナ侵攻など予測不可能な事象がインフレの犯人と捉えてよろしいのでしょうか?
岩永憲治(以下同)それまで米国経済は基本的には4~4.5%の成長率を維持してきました。ところが、世界的にコロナパンデミックが流行し始めた2020年2月末から3月にかけて、米国株が大暴落した。
するとバイデン政権は国民が被った経済的な打撃を緩和するとして、国民に〝禁じ手〟であるマネーのばら撒きを行いました。総額で8500億ドル超(1ドル130円換算で110兆円規模)もの現金支給に踏み切った。しかも3度にわたって。
アメリカ経済は本来、そこまでしなくてもよいポテンシャルを十分持っていたのですが、おそらくアワを食ったのでしょう。では、それで何が起きたのか。
消費者物価指数、耐久財(自動車、家具、大型電化製品等)受注額など景気の良し悪しを判断するための経済指標が、ばら撒きを行うたびに、おのおの前年比30%も跳ね上がったのです。知ってのとおり、もともと米国人は、日本人とは真逆のキャラで、貯蓄の概念に乏しいと言われます。大仰でなく、政府からコロナ給付金をもらったら、その倍から10倍くらいを消費に回してしまう国民性なんです。
なおかつコロナ禍の最中ということで、工場が生産停止に追い込まれ、モノの供給がストップしていました。モノがないなかでマネーをばら撒いたら、当然ながら、モノを買おうとする猛烈なパワーが働いて、モノの値段は上がります。ただでさえ、コロナ禍で大好きな買い物を我慢していた米国民が現金支給を契機に爆買いに走ったことで、物価が一気に上昇していったのでした。
よくメディアはウクライナとロシアの紛争が米国の物価高を招いたのだともっともらしい説明をするのですが、実際はまったく違いました。ウクライナ紛争が起きたときには、すでに米国はインフレになっていたのですから。その証拠は当時の耐久財のチャートを見れば一目瞭然。つまり、インフレの真因はバイデン政権のばら撒き施策にあるのです。