EC化が進んでもアウトレットモールが廃れない理由
御殿場プレミアム・アウトレットは、2020年4月に増床リニューアルオープン。2000台収容の駐車場を新設、店舗面積1万7000㎡に88店舗が加わり、小田急グループのホテル「HOTEL CLAD」と日帰り温泉施設「木の花の湯」が開業。ショッピングだけにとどまらない一大リゾート施設へと変貌を遂げた。
御殿場プレミアム・アウトレットは、消費者心理をそのまま形にしたような施設だ。
アウトレットモールに足を運ぶ目的は大きく2つにわかれる。1つは安く買い物をすること。もう1つがレジャーだ。
JTB総研は「アウトレットモールに関するアンケート調査」を実施しており、「アウトレットモールへ行こうと思ったきっかけ」を尋ねている。その中で「家族等に誘われたから」(18.4%)と「家族で出かけたくなったから」(15.9%)という回答は、合わせて34.3%に及んでいる。
一方、「バーゲンがあったから」(23.7%)、「新しいショップがオープンしたから」(7.9%)、「買いたいものがあったから」(2.1%)は、合計で33.7%。家族でのレジャーとショッピングの要素が拮抗しており、ショッピングモールの目的はこの2つに集約されるというわけだ。
この調査の中で、アウトレットモール以外に行った場所として、最も多い回答は「温泉」だった。
アウトレットモールは百貨店など正規取扱店と顧客の取り合いを避けるため、都市部から90~120分程度の郊外に大型店を出店するのが一般的だ。その多くが高速道路のインターチェンジ付近に建設したこともあり、レジャー目的で訪問する顧客が多くを占めるようになった。
洋服などを安く買いたいのであれば、ZOZOTOWNなどのECサイトで十分であるし、遠くまで行かずともUNIQLOやGU、ZARA、H&Mなど都心にあるファストファッションでも質の高い商品を安価で手に入れることができる昨今。コロナ禍でEC化が進んだにもかかわらずアウトレットモールの集客力が強いのは、非日常体験ができるレジャー施設という要素があるからなのだ。