公共訴訟の圧倒的不均衡に一時は絶望した
谷口 ただ、公共訴訟を始めてみると、圧倒的な不均衡がそこにありました。訴訟のためのお金がないとか、弁護士団を組織しようとしても、公共訴訟を扱える弁護士が足りないとか、国相手だから全然勝てないとか。
結局システムはシステムの中で圧倒的に強くて、その不均衡の中で、ある意味、私は絶望して。 ある移民の方の事件(*1)で、本当にもう全力を尽くしたけれど、結局勝てず……。その方は入管職員に制圧されて、その瞬間に亡くなったんですが、「心臓の奇病」ということにされて片付けられてしまって……。
それで「もう弁護士はやめよう」と思って、ソーシャルワーカーになるためにアメリカに留学したんです。そしたら、ちょうど第1次トランプ政権で、トランプ大統領が移民を排斥するような大統領令を出していて、それに対して市民は「まだ裁判所がある」と言って、彼らが司法の力を使って大統領令をひっくり返す現場を見たんです。
それで「こういうやり方があったんだ!」と。「こういうことを僕は日本では一度も試したことがなかったな」と思って、その後日本に帰ってきて、もう一度弁護士の仕事を再開し、今CALL4(*2)とかLEDGE(*3)という、市民と司法を結びつける活動をしているんです。
*1 日本で日本人の妻と暮らしていたガーナ出身の男性スラジュさんが、在留資格を認められず強制送還されることになり、成田空港で入管職員6人に「制圧」されて死亡した事件。猿ぐつわや無理な姿勢を強制されたことによる窒息死と思われるが、裁判では「心臓の奇病」とされた。詳細は下記の谷口氏による記事を参照。
やっぱりあきらめないことにした話|公共訴訟のCALL4(コールフォー)
*2 CALL4 社会課題の解決を目指す公共訴訟を支援するウェブプラットフォーム。訴訟の情報発信や寄付募集を通じて、市民と司法をつなぐ活動を行っている。
*3 LEDGE 公共訴訟を支える日本初の専門家集団。弁護士やリサーチャー、キャンペーナーらが連携し、公共訴訟のプロデュースや情報発信を通じて社会のルール変革を後押ししている。














