極右の「女性化」

フランス極右の近年の躍進を考える上で避けられないのが、女性による国民連合支持の増加である。一般的に、極右の支持層は男性に偏ると考えられがちだが、驚くべきことに、近年の国民連合の支持層に男女差はほとんど見られない。

さらに、マリーヌ・ルペン、イタリア首相のジョルジャ・メローニ、ドイツAfD(ドイツのための選択肢)共同党首のアリス・ワイデルのように、女性政治家が極右勢力の顔となり、リーダーシップを担うことも、いまや珍しい光景ではない。

2015年1月20日、ローマのテレビ番組で共演するジョルジャ・メローニ(左)とマリーヌ・ルペン(右)。写真:Italy Photo Press/アフロ
2015年1月20日、ローマのテレビ番組で共演するジョルジャ・メローニ(左)とマリーヌ・ルペン(右)。写真:Italy Photo Press/アフロ
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こうした極右の「女性化」とも言える傾向は日本でも観測されている。2025年夏の参院選で躍進した参政党は、神谷宗幣代表による「高齢の女性は子どもが産めない」などの発言が批判を浴びた一方で、女性候補者の割合は候補者の半数近くに達し、全政党のなかでも高い比率であった。

さらに、選択的夫婦別姓反対派で、自民党内でも最右翼とみなされてきた高市早苗が、2025年10月に憲政史上初の女性首相に選出された。このように、保守的な性道徳や家族観を掲げる政治勢力が女性の支持を集め、さらには女性政治家自身がその中心でリーダーシップを発揮するという、一見すると逆説的な状況が世界各地で生じているのである。

極右政党にとって、女性の動員は単なるイメージ戦略にとどまらない。それは、ナショナリズムを広め、過激な主張を「普通のもの」として見せ、政治的に正当化するうえで重要な役割を果たしている。

女性は、極右思想の暴力性や過激さを和らげるためのただの飾りではない。むしろ、その運動を内部から支える不可欠な存在なのである。しかし同時に、その存在は、極右イデオロギーが抱える矛盾を浮かび上がらせる。

極右思想は、伝統的な性別役割や、男性中心的で女性を従属的な立場に置く秩序を重視する。それにもかかわらず、その思想を支持し、広める役割を担っているのは、他でもない女性自身なのだ。

極右運動に参加する女性たちは、ミソジニー(女性蔑視)的な秩序のなかで「弱く、守られるべき存在」とされる一方で、その秩序を能動的に推進する政治的主体でもある。極右の女性たちは、従順さと行動力、脆弱さと大胆さという、矛盾する性格を併せ持っている。

では、なぜ一部の女性は、自らの権利を制限しかねない政治運動の「大使」として振る舞うのか。そして、なぜそのような戦略は実際に機能し、女性票の獲得へ繋がっているのだろうか。