「金太郎、叱咤する。」(集英社文庫・コミック版10巻収録)
荒れ果てた部署に飛ばされた金太郎
会社というものは、ともすると人を「部品」にしてしまう。与えられた持ち場だけを回し、全体のことは考えなくても仕事が進むように作られているからだ。組織としてはそのほうが効率的なのかもしれない。だが、その仕組みのなかに長くいると、サラリーマンは自分が何のために働いているのかさえ見失ってしまう。
『サラリーマン金太郎』第93話は、そんな“部品人間”になりかけた時、何を考えるべきかを描いた回である。
金太郎が不祥事の末に飛ばされたのは、どの社員もまともに仕事をしているようには見えない“終わった会社”YMTランドだった。
普通なら、こんな場所に回された時点で気持ちは切れる。だが、金太郎はそこで腐らない。朝早く出社して職場を掃除し、資料を読み込み、この会社がどんな状態に置かれ、本社のヤマト建設とどうつながっているのかを調べ始める。
そこで見えてくるのは、YMTランドがただの暇な子会社ではないという現実だ。ヤマト建設が抱えた問題や不良資産を押し込めた場所であり、本社から切り離されたようでいて、実際には本社の事情と深く結びついている。
そんな実態を追うなかで、金太郎は「サラリーマンて部品人間になりやすいじゃないですか」と口にする。
さらに、「一サラリーマンの立場でも会社の全体を把握しておくべきですよ」「会社の一部の部品でも全体をみていればね 自分が何のための部品かはっきり分かるしやる仕事にも力が入ると思うんですよ」「会社の全体を把握してるという事は……出世する為の基本的条件ですよ」と続ける。
与えられた仕事だけをこなしていると、自分の仕事はただの作業になっていく。目的意識もなく、ダラダラと働くことになる。
だが、その仕事が会社全体のどこにつながっているのかが見えれば、同じ仕事でも意味が変わる。自分の役割が分かると、力も入るし、自信も持てる。
左遷先のような部署でやる気をなくすのではなく、そこから逆に会社の全体像を見ようとする。第93話は、自分が何をしているのか分からないまま、与えられたタスクだけをこなしていると感じたときに響く話である。























