判決は「両親の不適切な養育」と断罪
2月4日、初公判が開かれた。法廷を見渡すと、被告人席の周りは水色の遮蔽板で囲まれていて、少年の容姿は見えなかった。
傍聴席からは、少年がその奥にいるのかも分からない。ただ、少年が入廷したと思われる際に手錠の擦れるような独特の金属音が響いた。
判決によると、少年は2024年2月10日、相模原市南区にある自宅マンションで、父親(当時52)と、帰宅してきた母親(当時50)を刃物で複数回刺して殺害。
また、同月6日と10日に、相模原市などのコンビニで飲み物やおにぎりを万引きした窃盗の罪でも起訴されている。
罪状認否では、少年は「母から殺してと言われたので殺害しました」と起訴内容の一部を否認。弁護側も、母親の殺害は直前に頼まれたことが理由だとして、嘱託殺人の罪にとどまると主張。
弁護側は冒頭陳述で、少年の両親による育児放棄(ネグレクト)などに触れ、刑罰ではなく、少年院に送致するなどの保護処分が選択されるべきだと強調した。
判決の認定事実によると、事件の経緯は次のとおりだ。
少年は、両親のひとり息子として生まれ、犯行直前まで家族3人で現場のマンションの一室で生活していた。
2023年4月には、県内の高校に進学したものの、無断欠席をするようになった。そんななか、少年は交際相手ができると、相手の家に居候状態になっていた。
その後、2024年2月に2軒のコンビニで飲み物やおにぎりを万引き。犯行が発覚すると、身元引受人として呼び出された父親とともに自宅に帰宅した。
自宅で父親から外出禁止を命じられたが、少年は交際相手に会いに行きたいと考え、父親の殺害を決意して、犯行に及んだ。
当時、外出中だった母親も、帰宅後に父親の遺体を発見したため、警察への通報を阻止するために殺害した。
判決は、少年の成育歴について、具体的なエピソードに触れながら次のように指摘している。
「犯行は、両親の不適切な養育や、情緒的な交流の乏しい親子関係等に由来する被告人の自己肯定感の低さなどによって引き起こされた面が大きく、成育歴を背景とする根深いものである」