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50歳を過ぎて大学卒業の理由
――前回のインタビューについて、反響はありましたか?
ウチでも書いてもらいたいと、付き合いのある編集者から連絡がありました。「新潮社の漫画が集英社オンラインに出ているんだから、もう解禁でしょ?」って(笑)。やっぱりノンフィクション漫画を開拓したいみたいで、いまはそのニーズがすごくあるんだなと思いました。
あとは、私の記事をずっと追ってくれているような人は、いままで仲間内でしか言えなかったようなことを、外に向かって言ってくれているのが気持ちよかったと言っていましたね。
――押川さんは今年の3月に北九州市立大学を卒業しました。改めて、50歳を過ぎて大学に通おうと思った理由を教えていただけますか?
私が取り組んでいる、触法精神障害者や薬物依存者などの精神疾患分野は、法律的には刑事政策の分野になります。北九州市立大学には刑事政策専門の教授がいたので、もう一回基本から勉強しようと真面目にやりました。そのおかげか卒業時の成績は学科内で五本の指に入ったんですよ。英語の成績が響いて負けちゃったんですけどね(笑)
――大学で得られた学びはありましたか?
ひきこもりは、もともと心理学と教育学の分野とされてきました。かじっている人ならばわかると思いますが、心理学は「見守りなさい」、教育学はすごくわかりやすく言うと「介入しましょう」。そのせめぎ合いで、これまでぶつかってきたわけです。
ですが、心理学的な「見守り」というのは、子供を大事にしてるように見えて、本人に委ねる形、つまり自己責任です。介入をすれば責任を取らなければいけなくなってきますから、それは避けたいと。とすると、教育学的なアプローチがいいのかといえば、そうでもない。私は高学歴の子どもたちにもたくさん会ってきましたが、それだけでは社会で通用しないんです。