「借りるのを躊躇される方が出てくるのではないかと危惧しています」
奨学金の金利がかつてないペースで上昇している。
独立行政法人日本学生支援機構の奨学金には、返済不要の「給付型奨学金」と、返済が必要な「貸与型奨学金」がある。
貸与型には、無利子の第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金が存在する。
第二種奨学金の貸与月額は2万~12万円。同機構が公表している「奨学金事業に関するデータ集(令和8年1月)」によれば、平均貸与総額は336万円、平均返還年数は17年にのぼり、若い世代にとって大きな負担となる。
2020年4月から始まった高等教育の修学支援新制度に基づく給付型奨学金は返済不要という大きなメリットがある一方、多子世帯など対象が限定されているため、比較的利用しやすい第二種奨学金を選ぶ学生はいまも多い。
そうしたなかで進むのが、利率の上昇だ。
第二種奨学金は貸与終了月の利率が適用される仕組みのため、在学中の金利上昇によって返済総額が大きく変わる可能性がある。
奨学金返済の問題に取り組む「奨学金問題対策全国会議」事務局長の鴨田譲弁護士は、近年の金利上昇について次のように説明する。
「第二種奨学金の金利を同機構のホームページに掲載されている金利の一覧表で見ると、令和3年度と令和8年度で比べると10倍ぐらいになっています。
私たちがこの活動を始めたのは13年ほど前ですが、始めてから数年はずっと低利率でした。それがここのところで急激に上がり、返済総額にすると数十万円も変わってくるような水準になってきています」
奨学金の利率の上限は3%と決められているが、現状ではもはや上限に近い水準となっている。
こうした状況を受け、懸念されることとして「借り控え」の可能性を同弁護士は指摘する。
「返済総額が数十万円増えるという報道もあり、借りるのを躊躇される方が出てくるのではないかと危惧しています。
奨学金は、ご自身やご家庭が裕福でない方が借りて進学するためのものですが、『返せないから借り控える』という動きが出てしまうと本末転倒です」
では、求められる対策とは何か。
同弁護士は「学費値上げへの対応」と「給付型奨学金の拡充」を挙げる。
「今は国立大学でも授業料引き上げの動きがあります。それを下げるのが最も大事ですが、実際は逆行しています。
政府も積極財政の方針を打ち出していますので、金利上昇分については国が補助するなどの方法による解決が望ましいと思います。
また海外では返済不要の給付型支援が充実している国も多く、日本でも給付型奨学金をもっと拡充すべきです。
大学卒業後も非正規雇用で働く若者は少なくなく、そこまで賃金も上がっていないのではないでしょうか。
国が学費負担を下げる、あるいは奨学金を増やすという形で対応するしかないのではないかと考えます」












