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――まずは、ヤチナツ先生がマンガを描き始めたきっかけを教えてください。

ヤチナツ 大学時代に自分の生活にまつわるエッセイマンガを描いて、Webにアップし始めたんです。

当時はちょうど「note」がリリースされたタイミングで、まだプラットフォームに漫画作品が少ない中で、定期的に制作物を投稿していくうちにフォロワーもだんだんと増えていきました。

ただ、私としては漫画は趣味だと思っていたので、大学卒業後は一般企業に就職しました。その後、3~4年間は会社員として勤めたのですが、その間にお金が貯まったので、また漫画を描くために仕事を辞めたんです。

気が済んだら再度就職しようと思っていたのですが、徐々に漫画の仕事が増えていったので、結果的に漫画家としてのキャリアを選んだという形です。

――昨年11月からはWebマンガサイト「くらげバンチ」にて、「女性用風俗(女風)」をテーマとしたエッセイマンガ『女性に風俗って必要ですか?』のシリーズ第2弾『真・女性に風俗って必要ですか?』の連載が開始されました。

ヤチナツ 今作では本当にたくさんの人に取材させていただきました。モデルとしているお店の店長さんだったり、セラピストに実技講習をしている方だったり、セラピストとして働いている女性だったり、女風バーだったり……女風を軸にいろいろな立場の人に話を聞きながら、ストーリーやキャラクターを練っていきました。

――取材してみて驚いたことはありますか?

伊東 中小規模のお店が参加する勉強会にも、2人で行きましたよね。「東京秘密基地」さんと「東京萬天堂」さんは女風の中でも大手なんですが、中小規模店は沢山できる分、潰れてしまうお店も多いです。そういったお店で意識が高いところは横のつながりが強くて、「大手にできなくて自分達にできることは何か」と情報共有をしているんです。

ヤチナツ ちなみに女風の利用者も参加可能で、実際にセラピストと一緒に来ている方もいましたね。そこでは経営者や売れているセラピストの座談会などが聞けるのですが、「汚い鏡で自撮りしている時点で売れない!」みたいなことも言っていて、とても参考になりました。

――読者からの反響で印象的なものがあれば教えてください。

伊東 最初は、「こういったサービスを面白おかしく取り上げて、みんなが行ったらどうするんだ!」とか……。

でも、だんだんと読者の反応も変わっていって。いちばん潮目が変わったと思ったのは、2022年12月に有名女性タレントが東京秘密基地を利用したと某メディアが報道してからです。

それまでは女風に対して偏見を持っている方も多かったと思うのですが、それによって「芸能人でも(女風に)行くんだ!」と世間の認識が少し変わったのかなと。

記事が出たあとは、東京秘密基地のサイトがサーバーダウンしてしまうほど話題になり、「くらげバンチ」に掲載している本作品も過去最高にアクセスが集中し、これまでにないほどコメントがつきました。

――どのようなコメントが多いですか?

伊東 さまざまですが、「私が使ったときはこうだった」のように自分の経験談を書かれている人が多かったですね。あとは、男性読者と女性読者が性に関して議論しているときもありました。Web連載版では、読者の約3割が男性なんですよ。

ヤチナツ 私のSNSにも「漫画を読んで、はじめて女風に行ってみました」とDMで送ってきてくださる方が多くいます。自分が描いた作品が誰かの行動に影響を与えていると思うと、ちょっとうれしいですね。

漫画/ヤチナツ
取材・文/毛内達大

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