女性も利用しやすいとんこつラーメン店

一風堂はラーメン業界のいくつもの常識の壁を壊してきた先駆者だ。

それまでラーメン店といえば、店内には独特の匂いが充満し、床や壁が脂っぽかったり作り手もお客も男くさかったりするのが当たり前だった。特にとんこつラーメンの匂いを苦手にしている人は少なくないはずだ。

しかし一風堂は、創業当初から店内は清潔感が保たれ、BGMにはジャズが流れ、臭みを感じさせないマイルドなとんこつラーメンを提供し、女性も利用しやすいラーメン店の先駆けとなった。

一風堂の清潔な店内
一風堂の清潔な店内

創業者の河原成美(かわはらしげみ)氏は、関東エリアへの出店を開始すると、1997年にテレビ東京系の人気番組『TV チャンピオン』のラーメン職人選手権で優勝、その後同番組で3度の優勝と殿堂入りを果たし、一風堂は一気に全国区の知名度を獲得していった。

2000年には、業界初となる店名入りのカップ麺を日清食品と共同開発して発売、さらに2008年に海外1号店「IPPUDO NY」を出店すると、この店は全米レストラン投票サイト「Yelp!」で第1位(2010年度)に輝く繁盛店になった。

その後も国内外で出店を加速させ、創業から39年で世界に274店舗(2023年12月時点)を展開するグローバルなラーメン店となり、2024年にはスペインとドイツに子会社を設立して欧州エリアでの更なる店舗拡大を進めたり、福岡県・柳川高校では学食提供をスタートさせるなど、さらに新たな挑戦を続けている。