東京、そして全国ができること

以上に加え、東京など遠方からの観光客でも被害の少ない加賀温泉あたりを鉄道で訪れるなどの場合は、金沢で途中下車をして日中の観光を楽しむということも可能だろう。

もうひとつ、遠方からの有力な支援方法がある。現地消費が基本となる観光産業において、遠隔地での数少ない支援可能な領域が物販である。

全国にある石川県のアンテナショップでは様々な名産物が売られており、その中には被災地の伝統産業にまつわる商品も多い。多くの工房が甚大な被害を受けた輪島塗もそのひとつだ。現地では生産体制の復旧がすでに議論の俎上に上がってきており、今回の震災を機に都市部の中間層が石川県の漆器に関心を寄せるようになれば、将来の販路拡大も期待できる。

家庭に石川県の産品があれば、モノから場所への興味も広がり、被災地支援の輪が広がる可能性にもつながる。現在、ふるさと納税を受け付けていない被災地もあるが、ふたたび制度が利用可能になった際には被災地の産業支援という観点から、ぜひ石川県の返礼品を楽しみながら選んでほしい。それはふるさと納税という制度が元来持つ趣旨とも合致する。

2022年度のふるさと納税の寄付総額が9654億円で、3年連続で過去最高を更新。今年は被災地の産業支援の観点からぜひ石川県の返礼品を選んでほしい
2022年度のふるさと納税の寄付総額が9654億円で、3年連続で過去最高を更新。今年は被災地の産業支援の観点からぜひ石川県の返礼品を選んでほしい
すべての画像を見る

被災地支援は一過性のものではなく、息の長い関わりが大切となる。折に触れて「被災地がどうなっているのか」を全国の人々が共有し、被災地を精神的に孤立させないためにも、チャリティではカバーできない強さを持つ、モノの消費を通じた経済の交流が重要となる。

文/井出明