能登半島地震の初動遅れ
1月1日16時10分に発生した能登半島地震が震度7であり、マグニチュード7.6であることは発生直後に気象庁が速報で発表していた。さらに、最大加速度が2828galであることは、当日22時45分(地震発生の約8時間半後)に防災科研が公表している。以下に記載した、直近20年間に日本で発生した他の震度7の地震4件と比べても、その地震規模の大きさは一目瞭然である。
【直近20年間に日本で発生した他の震度7の地震5件】
・新潟県中越地震(2004年):震度7、マグニチュード6.8、1750gal、津波なし、死者68人
・東日本大震災(2011年):震度7、マグニチュード9.0、2933gal、津波9.3m以上、死者19,729人
・熊本地震(2016年):震度7、マグニチュード7.3、1579gal、津波なし、死者273人
・北海道胆振東部地震(2018年):震度7、マグニチュード6.7、1796gal、津波なし、死者43人
・能登半島地震(2024年):震度7、マグニチュード7.6、2828gal、津波4m以上、死者232人(1月19日時点)
能登半島地震はマグニチュードも最大加速度も東日本大震災に次ぐ数値で、特に最大加速度は東日本大震災(2933gal)に匹敵する2828gal。さらに、東日本大震災と同様に津波もあった。政府は想定される被害の大きさに遅くとも地震当日の夜には気付けたはずだが、災害対応は極めて遅かった。
こうした批判に対して、「被害が甚大な能登半島北部への交通ルートが限定されていた」という地理的条件を理由に初動遅れを擁護する声がある。そこで本記事では能登半島地震、発災直後の「官邸の動き」に焦点を当て、初動の遅れについて検証する。
まず、地震発生1〜2日目に、初手誤りといえる動きを複数確認できる。
1月1日17時30分(地震発生の1時間20分後)に「特定」災害対策本部を設置。一見すると素早い設置に見えるが、この対策本部の種類に大きな問題がある。