深く一礼して法廷を去っていった

「主文、被告人を懲役23年に処する」

裁判長がこう判決を言い渡したとき、小西被告はまっすぐに裁判長のほうを向き、微動だにしなかった。

午後3時からはじまった判決公判。法廷には、張り詰めた空気が漂っていた。一礼して、法廷に入る被告。表情は硬直し、緊張しているのであろう、少々身体が震えていた。

裁判長が被告を証言台に立たせ、「小西被告人ですね」と確認すると被告は小さく頭を下げる。

裁判長「判決を言い渡します」

その瞬間、傍聴人らは息をのむ。筆者も固唾をのんだ。

裁判長は、前記の主文を宣言したあと、判決の理由を読み上げた。

<被害者の生命や人格を尊重する姿勢は全く見受けられず、犯行態様は残酷で極めて悪質である>

このとき、証言台のいすに座った被告のほうから、鼻をすする音がした。

<(被告が)激怒し、感情のおもむくまま、犯行に及んだ>

さらに、被告は「犯行に主体的に関与していたことは明らかである」と指摘。被告、弁護側の”従属的な立場だった”とする主張を退けた。

<(被害者は)筆舌に尽くしがたい恐怖や苦痛、屈辱を受けたうえで命を奪われており、結果は重大である。このような形で17歳の被害者を失った遺族らの悲痛も察するに余りある>

午後3時13分、判決の言い渡しを終えて、閉廷。

被告は、証言台から戻るときに両手で目元をぬぐい、職員らに連れられて、深く一礼して法廷を去っていった。

今回の裁判では、旭川市内の広域から傍聴希望者が集まり、なかには親子で傍聴しにきた人もいた。

市内在住の70歳男性は、「殺人に至った被告の思いを知りたいです」と言い、同じ市内で育った若者が、なぜあんな残虐な犯行に至ったのか関心があったと話す。

裁判で、小西被告は「真実が闇に消されてしまうと思い、本当のことを話しました」と述べたが、共犯とされる内田被告は、起訴内容を否認。今回の裁判で「真実」には近づけたのだろうか。