初任給は日本円で7万円
約1か月の新兵訓練を終えた3人の日本人義勇兵はいきなりウクライナ東部戦線に投入されることになり、激戦地のバフムトに近いドネツク州コンスタンティニーウカにある後方基地に送られた。私がケンさんに会った時はまだ前線には行けず基地で待機していた。
ところで外国人義勇兵にはどれくらいの給料が支給されるのだろうか?
「先日、部隊に入って初めて給料をもらいました。日本円で7万円ほどでした。今後、毎月、給料が支払われるようです。そして前線に出ると月に10万円ほど手当を上乗せしてくれるそうで、月給と合わせると最終的にはおよそ30~40万円ほどになります」
命を賭けた対価が月額30〜40万円という金額に驚く方もいるかもしれないが、私は決して安くはないと思う。フランス外人部隊の中で精鋭と名高いパラシュート連隊の新兵の場合でも、月給が約20万円、戦地に派兵されると手当がついて約40万円ほどだという。
ちなみに私がかつてシリアで出会った自爆ベストを身に付けたイスラム国の戦闘員は菓子が買えるくらいの小遣い程度しかもらえない。むしろ平均月収が7万円にも及ばないウクライナ【※編集部註:2021年5月時点で1万3499フリヴニャ(約5万5000円)】で軍歴のない外国人にウクライナ軍が40万円もの月給を払っていることに驚きを隠せない。
給料の使い道を聞くと、
「軍隊では食事や家賃など生活にはお金がかからないので、ほとんど養育費ですね」
笑いながら話すケンさんに、3歳の息子を愛するバツイチ義勇兵の哀愁を感じた。現在は家族に連絡はとっているのか?
「息子の写真を見ると泣いてしまうので極力、見ないようにしています。元嫁にはたまに連絡してますが、電話で息子の声を聞いたら恋しくなって帰国してしまうかもしれません」
#2へつづく
#2 「ウクライナ人を助けたい」のか「死ぬかもしれない」状況下での自分試しか…45歳日本人義勇兵がウクライナの戦地に赴いた真意を探る
取材・文・撮影/横田徹