トランプ・ロシア関係の深層

プーチンはなぜ、トランプに目をつけ、大統領選挙で支持したのか。「不動産王」と呼ばれたトランプとロシアの接点はどこにあったのか。冷戦後の1990年代からトランプが展開してきたビジネスの状況から点検していきたい。

米国民が2016年当時トランプに抱いたイメージは「大成功したビジネスマン」とみられる。だから、彼に思い切った政治を期待する、と考えて投票した米国民が多かったようだ。しかし、その現実を見ると、意外な事実が浮かび上がる。トランプが倒産させた主要なケースは以下の通りだ。いずれもホテル、ないしはカジノ・ホテルである。

 1991年 トランプ・タージ・マハール(ニュージャージー州アトランティックシティ)
 1992年  トランプ・プラザ・ホテル&カジノ(同)、トランプ・キャッスル・ホテル&カジノ(同)、プラザ・ホテル(ニューヨーク)
 2004年 トランプ・ホテルズ&カジノ・リゾーツ
 2009年 トランプ・エンターテインメンツ・リゾーツ


トランプ自身はこれらの倒産について『ニューズウィーク』誌に「(債務減らしの道具として)破産法をうまく使っている」と発言している。現実には、1980年代には70行以上の銀行がトランプに約40億ドルを貸し付けていた。しかし1990年代の連続破産で米銀行は手を引き、取引銀行はドイツ銀行とドイツ・バイエルン州の銀行の2行だけになったと言われる。特別検察官は2018年、ドイツ銀行を召喚、捜査している。

かつて「不動産王」と呼ばれたトランプ米大統領
かつて「不動産王」と呼ばれたトランプ米大統領
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