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戦場での休日はマッチングアプリでウクライナ人女性とデート

日本では板前や営業職をしていたという義勇兵のケンさんは離婚したことがきっかけでウクライナ行きを決意した。3歳の息子に会えない悲しみを胸に過酷な戦場に身を投じた。

任務以外の時は何をしているのだろうか。

「料理や洗濯ですね。たまに筋トレとか銃の手入れをしています。基地からは自由に外出できないので、手に入るものを使い料理を作ります。板前をしていたことが役に立ちました。特にだし巻き卵はみんなにも好評ですね。
それと、キーウのジョージア部隊の基地にいた時にマッチングアプリで知り合ったウクライナ人女性と友達になったので、ウクライナのことでわからないことがあると相談しています。 前線に来る前は、買い物に付き合ってもらったり食事に行ったりしてました」

元料理人のケンさんがつくる料理は美味しいと部隊でも好評(写真中央がケンさん)
元料理人のケンさんがつくる料理は美味しいと部隊でも好評(写真中央がケンさん)
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マッチングアプリで知り合ったウクライナ人女性とデート!?

まるでスペイン内戦を舞台に義勇兵と現地女性の恋を描いたヘミングウェイの『誰が為に鐘は鳴る』の現代版だ。戦士にも休息は必要なのだ。実際、ウクライナのために命を賭けて戦う義勇兵に恋心を抱く女性は多い。

以前、ケンさんと同じ部隊で戦う義勇兵のハルさんとドニプロの街中を歩いていると、軍服姿のハルさんを見つけたウクライナ美人が「ハグさせてほしい!」と声をかけてきて、熱い抱擁を交わしていたのを目撃したことがある。「2人の女性からアプローチされています」というハルさんの言葉は嘘ではないと思った。そしてウクライナに親日家が多いのはさまざまな場所で私自身も実感した。

ウクライナ東部・クラマトルスクで倒壊したお店前で亡くなった人に手向けられた花
ウクライナ東部・クラマトルスクで倒壊したお店前で亡くなった人に手向けられた花

ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、今日まで7人の日本人義勇兵から話を聞いてきたが、7人全員が義勇兵になった動機は「ロシアの侵攻で平穏な日常を奪われたウクライナ人女性、老人、子供を守りたい」と答えている。

しかし、私にはどうしてもそれだけが理由とは思えなかった。
彼らはどうしてウクライナに義勇兵として赴いたのだろうか?

取材を始めて数日経ったある日、ケンさんに義勇兵になった本音の部分を聞いてみた。

日本人義勇兵のケンさん
日本人義勇兵のケンさん

「上手く言えませんが、私は昔から何事も経験しないと気が済まない性格でした。一般の人に比べて恐怖心が薄いのかもしれません」