「自分がこうなったのは親のせいだ」

「関西で一緒に死にませんか?」苦悩した宗教2世が「集団自殺」を選んだわけ_3

高校2年のとき、自動車整備工場に盗みに入ったことで逮捕された。留置所内ではあることがふと頭に浮かんだ。

「自分がこうなったのは環境のせいだ。その環境を作ったのは親だ。親に復讐するぞ。親を殺して、自分も死んでやろう」

ヨシオは、これまでの苦しさやイライラ感は、すべて親のせいだと感じていた。

しかし、少年院に入り、「内観」という作業をする。これまでの自分の人生を振り返り、自分が他人に与えられてきたことを考えさせられた。そうしたことが、「親に感謝する自分」「親から与えられたものは大きいと感じる自分」を発見することになっていく。

出所後、これまでのような焦燥感はなくなっていた。しかしながら、高校は休学し、4月からは別の高校に転校する。不安感以上に、恐怖感が襲ってきた。
 
「新しい学校になじめるのかな」「友達はできるだろうか」
 
高校まで友達と呼べるほどの人との出会いはなかった。転校先でも友達はできないだろうと、ヨシオは考えていた。

「高校では、よく話す人はいましたよ。だから最初の高校では孤立していなかった。でも、孤独だったんです。転校先の高校でも同じになるんじゃないか、って怖かった。だから、将来を考えるのが面倒だったんです」

「関西で一緒に死にませんか?」苦悩した宗教2世が「集団自殺」を選んだわけ_4

そうした思いの中、インターネットで募集し、見ず知らずの人と一緒に自殺をする「ネット心中」を知ることになる。そうしたことがヨシオの自殺願望を再燃させ、刺激した。「練炭自殺」の実験もした。その様子をレシートにメモしている。

  1分後 アンモニア臭
  15分後 眠い(まぶたがおもい)
  30分後 脈拍80―90
       体が熱い。
  40分後 タバコを初体験したような感じ
  45分後 市販薬を一箱飲んだような感じ。気持ちが悪いのである

その後、苦しくなってヨシオは車外に出た。そうした経験の上で、ヨシオは<一緒に死ねる人いませんか? 連絡ください>とインターネットで呼びかけた。

「この時に、今すぐに死にたいという願望があったわけではないんですよね。ただ、〝誰かとの約束〟があれば、自殺ができるのではないかと思っていました」