中学では信仰を理由に剣道の授業を見学

「関西で一緒に死にませんか?」苦悩した宗教2世が「集団自殺」を選んだわけ_2

中学では、信仰を理由に「剣道」があるときは体育を見学した。さらに運動部は宗教活動に影響がでるために、文化部に入ることになった。下校時に、宗教活動に参加するために親が迎えに来ることも多かった。周囲から、「さぼっている」「甘えん坊」と見られた。
 
「中学校のころって、みんながやっていることを同じようにやってみたいと思うじゃないですか。友達がやっているのに、『申し訳ない』と思ったりしていました。自分の中で、『仲間に入れていない』なって感じたりした。本当は運動部だってやってみたかった。それに文化部は女子ばかり。嫌でした」

クラス内での人間関係もうまくいかず、2年生のころになると、「死にたい」と思うようになっていく。両親はこれまでのいじめのことは知っていても、「いじめがあれば逃げればいい」としか言わず、いじめ解決には積極的ではなかった。むしろ、ヨシオがいじめられたとき、親は聖書を片手に諭した。
 
「聖書を持ち出されても納得いかない。自分の気持ちをわかってほしいのに、わかってくれないんですから」

親は、「エホバの証人」の支部役員だった。そのこともあり、高校のときの、<サカキバラセイト参上!>という落書きは、親自身が被害届を出していた。ただ、その後、ヨシオが落書きの犯人だと分かった親は、警察署にヨシオと一緒に行き、被害届を取り下げた。それ以後、ヨシオは宗教活動に参加する機会が減った。

「宗教活動に参加しなくなると、突然、自由な時間ができるんです。時間ができれば、これまでの分を取り戻すかのように遊びたい。でも、お小遣いには恵まれていないし、親に対して『もっと欲しい』とは言いにくい。そのため、近くの事務所などに忍び込んで窃盗を繰り返したんです。金を盗んでは、遊ぶ金に回していました」