天真爛漫なさくら先生の珍エピソード

――さくら先生作品の人気を実感した出来事はありますか?

とにかくファンレターの量がすごくて驚きました。当時は編集部に作家宛の手紙が届くことはほとんどなかったんです。どんなに売れている方でもひと桁くらいのもの。でもさくら先生は段ボール2箱分くらいは届いていたんです。さくら先生の文章は読者に語りかけるような要素もあったので、読者がそれに答えるように手紙を書きたくなっていたんじゃないのかなと思います。

――新福さんから見たさくら先生はどんな人でしたか?

すごく天真爛漫な人。『さくら日和』の装丁について、デザイナーの祖父江慎さんとさくら先生と僕の3人で、さくら先生のアトリエで打ち合わせをしていたときのことです。打ち合わせから20〜30分たったあたりで、さくら先生が急に「私、眠いよ〜眠くなっちゃったよ〜」と言い出しました。そして、そのままソファで本当に寝ちゃったんです(笑)。

僕と祖父江さんは少しだけ打ち合わせをしてから、寝ているさくら先生をそのままにして失礼しました。さくら先生は目覚めたら誰もいなくてびっくりされたと思います。ふつうは打ち合わせ中に眠たくなっても寝ないと思うのですが、さくら先生は本当に寝ちゃうからすごい。祖父江さんも僕もよく知っている人だったから安心したんだと思うのですが、その自由さからくる天真爛漫さが、さくらさんらしいなと思います。

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名エッセイスト・さくらももこが最後までこだわった新刊のタイトル。「編集部から修正をお願いしたのはその時だけです」_6
『さくらももこ展 公式図録』(3,500円・税込)には会場で展示される原画を多数収録しています
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取材・文/上村祐子 Ⓒさくらももこ Ⓒさくらプロダクション

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『さくらももこ展』
『ちびまる子ちゃん』の作者で、エッセイスト、作詞家としても幅広く活躍した作家・さくらももこの全仕事を網羅した展示会。2022年11月12日(土)〜12月25日(日)まで『高松市美術館』にて開催された後、横浜、静岡、神戸など全国を巡回予定。
そのほか割引制度や開館時間など詳細は公式サイトで確認を!

『さくらももこ展』公式

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