専門家も「本来は税で対応すべき」と非難
「このために前述の財源が必要だと政府は説明しており、社会保険の徴収額を増やして『子ども子育て支援金制度』を創設するとしています。しかし、子育てをしない人や、すでに子育てが終わっている人を中心に、自分や家族の病気やケガに備えた健康保険で収める金が少子化対策に使われるのはおかしいとの声もあります 」(政治部記者)
4月9日の国会では参考人の専門家からも「本来は税で対応すべきものだ。理論的にまったく正当化されない財源が投入されようとしている」(西沢和彦・日本総合研究所)との指摘が出た。
「岸田首相は防衛費増額で大幅な増税を行なうと表明したときに“増税メガネ”と非難されたことがトラウマになっており、増税ではなく社会保険の上乗せという手に目をつけたとみられています。しかし社会全体で子育てを支援するというなら正々堂々と税金で財源を集めるのが筋だという声は根強い」(政治部記者)
少子化対策をうたいながら、結婚も出産も困難に思えるような年収200万円という低所得者からも徴収することに「貧乏な者からも子育て支援を名目にカネを取るというのか」(20代女性)と怒りの声が上がっている。
「岸田首相は『歳出改革と賃上げで社会保障の負担率を抑え、全体として実質的に負担が生じないようにする』と説明していますが、現実には一人ひとりに負担増が生じます。物価高続きで名目賃金に物価上昇分を加味した『実質賃金』は、最新の2月分の毎月勤労統計で23ヶ月連続の減少となりました。賃上げで負担はなくなるとの首相の言葉は多くの人には詭弁にしか聞こえません」(野党関係者)