議員辞職の勧めも「無視」した塩谷氏

「私のことで迷惑をかけた。これで出席は最後になると思うが、みなさんには引き続き頑張ってもらいたい」

4月9日、自民党静岡県連の国会議員が集まった会議で、そう陳謝したのは安倍派の塩谷立座長。しかし、今回の処分で最も重い離党勧告を受けて翌5日に開いた会見では「私どもが何かを画策して指導したことはまったくない。事実誤認がもとになった判断。はなはだ心外」と、処分に不快感をあらわにし、再審査請求を検討する考えを表明していた。
塩谷氏が強気の姿勢を見せた背景には、「塩谷さんは名ばかり座長だったのにかわいそう」「トカゲのしっぽ切りだ」との同情論がある。

「塩谷氏は座長とはいえ、実際の派閥運営は西村康稔元経産相や萩生田光一元政調会長ら5人衆が取り仕切る形だった。前回の衆院選で比例復活だった塩谷氏が座長になったのは、当選回数が多かったことと、もう一人のベテランの下村博文元文科相のことを、安倍派のオーナー的存在である森喜朗元首相が嫌っていたからにすぎません。

塩谷立元文科相(本人Facebookより)
塩谷立元文科相(本人Facebookより)
すべての画像を見る

政治手腕を買われたわけでなく“無害”だったからこそ座長になった。なかには『森さんは最初からこうなることを予想しており“生贄”として塩谷さんを準備していたのでは?』と陰謀論を話す議員もいます」(全国紙政治部記者)

一方、「彼はベテランにもかかわらず前回の衆院選で比例復活だったのだから、自民党公認で戦えたとしても次はなかったような人物。『自分は知らなかった』と責任逃れをするのは、往生際が悪い」(自民党関係者)との批判の声もあがる。

自民党のベテラン議員は裏金問題が発覚して以降、塩谷氏に議員辞職を促したこともあったが、塩谷氏は首を縦に振らなかったという。

こうした塩谷氏の態度に安倍派議員からは「最初は5人衆による集団指導体制で進めていこうと話がついていたのに、自分も安倍派の幹部でいたいと座長になったのは、塩谷さんでしょう。塩谷さんがさっさと責任をとって辞めてくれれば、他の安倍派幹部もこんなに重い処分をされることはなかったのに」と恨みの声も聞こえてくる。