韓国は巨額の財源を投入も効果出ず
負担が増えても効果が出るなら救いはある。だが問題は、これだけの負担増を負っても成果が得られないのではとの不安が尽きないことだ。
「政府の対策は子育ての負担をいかに減らすか、に焦点が当てられています。しかし、この方向で少子化対策をやって大失敗し、今や『世界で最初に消滅する国』になるといわれるほど子どもが減った国があります。他でもない、隣国の韓国です」
そう話すのは韓国取材経験がある外報部デスクだ。女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、日本は2022年に1.26だったが、韓国はさらに深刻で、2023年は0.72。
韓国の少子化の背景には、人口が集中する首都圏での住宅費高騰や、学歴を競い合う風潮がもたらす教育費による家計の圧迫、晩婚化や未婚率の上昇などさまざまな要因が絡まりあっている。もちろん、これまで韓国政府が何もしなかったわけではない。
「韓国では政府が2004年には本格的な少子化対策に乗り出し、2006年から2021年までの15年間に関連事業に280兆ウォン(約31兆5千億円)を投じています。それでも合計特殊出生率は2004年の1.16から下がり続けてきたんです」(韓国紙記者)
日本企業に就職し、日韓双方の社会を知る24歳の独身女性Aさんは「韓国は育児の支援金はちゃんとあるし、子どもが遊べるところも多く、制度的な環境は悪くないと思います。でも本来は結婚する前、子どもを産む前の段階から対策を取るべきでしょう」と話す。
Aさんは子育てに理解がない職場で勤務を続けることをあきらめた姉を見て「韓国で子どもを育てながら仕事をするのは難しい」と考えるようになったといい、政府からの育児支援が充実していても、社会の環境が子育てを受け入れるものでなければ子を育てようとは思わないと指摘する。