テーマは「明日、誰かに話したくなるプラネタリウム」

「子供の頃から星とギリシャ神話が好きで、大学も天文の研究室に入った」と話す嶋津さん。星にまつわる仕事をしたいと思ったものの、就活の時期にプラネタリウム業界での求人がなく、テレビ業界で20年ほど仕事をしていたという。

「テレビ番組のプロデューサーをしていたとき、コニカミノルタが関係している科学館のプラネタリウムを見て、『今のプラネタリウムってこんなに進化しているのか!』と衝撃を受けました。それで思い切って転職し、20年ぶりに星の世界に戻ってきたんです。同じ映像とはいえテレビとプラネタリウムでは、お客様が求めるものも作り方もまったく違うので、転職した当初は驚くこともありましたが、今はかなり好きなことをやらせてもらっています」

そんな嶋津さんの代表作のひとつが「Bar PLANETARIA」。お酒と軽食を楽しめるプラネタリウムバーだ。

お酒に香り、R18指定の作品まで。大人がハマる「令和のプラネタリウム」_g
毎週金曜の夜に有楽町のプラネタリアTOKYO・DOME1で開催中

「私の欲望を具現化したのがこのバーです(笑)。ずっと、お酒を飲みながらぼーっと星を眺めたかったんですよ。飲食OKのプラネタリウムはプラネタリアTOKYOが初なんですが、オープンするときから『絶対にバーやりたいです!』と言い続けて実現しました」

都内にも「プラネタリウムバー」を謳うお店はあるが、家庭用プラネタリウムで天井に星を照射するのと本物のプラネタリウムとではわけが違う。こんなにも広大なスペースで満天の星々が見られるバーは、おそらく日本でここだけだろう。

「「Bar PLANETARIA」に欠かせないカクテルは、写真映えはもちろん、味にもこだわった自慢のカクテルです。おいしいカクテルを片手に美しい星空を眺められる至福のひとときを過ごしていただけます」

お酒に香り、R18指定の作品まで。大人がハマる「令和のプラネタリウム」_h
インスタ映えとおいしさを両立!
お酒に香り、R18指定の作品まで。大人がハマる「令和のプラネタリウム」_i
身も心も癒されること間違いなし。(写真はイメージです)

さらに嶋津さんは「エロいプラネタリウムをやったこともあります!」と続けた。

お酒に香り、R18指定の作品まで。大人がハマる「令和のプラネタリウム」_j
お子さんに質問されたら困るようなワードもじゃんじゃん出てくる

「ギリシャ神話とエロは切っても切り離せないもの。それまではオブラートに包んでいましたが、いつかはエロと向き合わざるを得ないと思い、この作品を作りました。R18指定にさせていただいて、ドームもピンク色にして。おかげさまでとても話題になりました。今後もおもしろくて知識欲を満たせる作品を作っていきたいと思います」

最後に、プラネタリウムをプロデュースする上で大切にしていることを伺った。

作品をプロデュースする嶋津さんのモットーは「明日、誰かに話したくなるプラネタリウム」だ。
「見た人がなにかしらを感じ取って、『こんなプラネタリウムを見たんだよ!』と思わず誰かに話したくなるような、そんな作品を目指しています。その日の空を説明することも大事だけれど、もっとさまざまな切り口で星の楽しみ方を提案したいなと」

たしかに『R18オトナ♡プラネタリウム』などは、見たらつい人に話したくなるだろう。その話題性も、嶋津さんが意識的に作りだしたものだったのだ。

そのほかで大切にしていることを尋ねると、「“大人が落ち着ける空間づくり”を意識しています」との答えが返ってきた。

「もちろんお子様にも楽しんでいただきたいですが、プラネタリウムはリラックスや癒しを求めてくる大人のお客様も多いので。特にプラネタリアTOKYOは有楽町という土地柄か、仕事帰りに来場される方も多いんですよ。私も、頑張った日は仕事終わりに星を眺めてリフレッシュしています。ゆったりと一人の時間を大切にできるのもプラネタリウムの魅力のひとつなので、そこは大切に守っていきたいですね」


取材・文/吉玉サキ
撮影/於ありさ