進化するプラネタリウム。音楽、猫…多様なコラボに隠された思い

プラネタリウムが変化した背景の1つには、技術の進歩がある。

従来のプラネタリウムは、中央にある機械から壁に向かって星を映し出す「光学式プラネタリウム」形式だった。それに対して、昨今は「デジタル式プラネタリウム」と組み合わせることが多くなっている。ドームに映像を映すことが可能になり、表現の幅が広がったのだ。

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東京・有楽町にある「プラネタリアTOKYO」

「たとえばハワイを表現する場合、昔は星とナレーションで説明するしかありませんでしたが、今はハワイの映像を映し出すことができます。できる表現が増えたおかげで、さまざまな物語を作れるようになったんです」

さらに「LEDドーム」の登場により、ますます鮮明で美しい映像表現が可能になった。ドーム自体がモニターになっていて、壁に映像を映すというより「壁から映像が出る」のだ。その迫力は息を飲むほど。

「LEDドームでは入場時から映像を出しているのですが、一歩足を踏み入れた瞬間に『わぁ!』と歓声を上げるお客様がたくさんいらっしゃいます。そのくらい美しいんです」

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ダイナミックな星空を楽しめるLEDドーム

進化したのは技術面だけではない。上映作品も昔とは比べものにならないほどバラエティに富んでいる。

例えば、俳優の濱田龍臣が主演を務めるドラマ仕立てのプログラム「流れ星を待つ夜に」や、葉加瀬太郎や須田景凪などのアーティストが楽曲を手掛けたり、プロの楽器奏者による生演奏が楽しめるプログラムもある。そのアイデアの根源について、嶋津さんは次のように語ってくれた。

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クラシックの生演奏と星を楽しむライブ・プラネタリウム

「もちろんプラネタリウムなのでメインは星ですが、星に他の要素をかけ合わせることで、常に新しい切り口を模索しています。例えば、アーティストさんとコラボしたプログラムは星と音楽の組み合わせです。好きな音楽を聴きながら星を楽しんでいただくにはどうしたらよいかを考え、内容はその都度、新しいことを突き詰めていっています。いろんなエンタメを入れることで、星を見るだけというよりも、星を身近に感じていただけるかなと思っているんです」

たしかに上映しているプログラムは「星×○○」のかけ合わせが特徴的だ。例えばハワイやオーストラリア、ウユニ塩湖などの星空を楽しめる「星の旅 特別ロングバージョン」は、星と世界各国の美しい風景を掛け合せた内容となっている。

また、現在上映されている「猫星夜 -ある日の星空のおはなし-」は星と猫がかけ合わさったプログラム。アニメーション作品で、人気声優の櫻井孝宏が猫を演じ、場内にはマタタビのアロマが香る、猫好きにはたまらない内容だ。

このように星以外の要素が組み合わさることで、それまで星に興味がなかった層も楽しめる作品に仕上がっているのだ。

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猫好きにはたまらない「猫星夜 -ある日の星空のおはなし-」

実は日本国内のプラネタリウムは自治体が運営するものがほとんどで、民間で上映館を持つのは同社だけ。配給されたプログラムを上映するのではなく、自分たちで一から作るため、アイデアを実行に移すことができる。それがコニカミノルタプラネタリウムの強みであり、魅力だ。