クオリティの高い偽物が出回る「素人では、見分けることが困難」
高級腕時計に関わる詐欺事件は、今回に限った話ではない。昨年7月、フリマアプリで偽物のロレックスを正規価格の30分の1の値段で販売した会社員の男が、商標法違反の疑いで富山県警に逮捕された。
また同年12月には、質店で偽物の腕時計1点を本物であるように装って買取りを申し込み、現金140万円を騙し取ったとして、イベント会社の男が宇都宮東警察署に詐欺の疑いで逮捕されている。
「こうした詐欺行為をはたらく者たちは、『ロレックス』を中心に偽物を集めますが、近年爆発的に価格が高騰した『パテック・フィリップ』や『オーデマ・ピゲ』なども扱っています。どれも素人では見分けることが困難なほど、精巧に作られています」(時計商)
コロナ禍以降、右肩上がりだった高級時計市場。一次流通が品薄になることで、二次流通のブームをもたらし、価格も上がり続けた。しかし、近年価格は下がり、高級腕時計バブルの終焉を予期させている。
それでも、いまだになくならない「偽物時計」の売買。その背景には何があるのだろうか。
「偽物の高級腕時計を使った詐欺は昔から横行していますが、近年は偽物のクオリティを少しでも上げるために、本物を解体して(時計の)構造を研究する人たちがいる。その結果、よりクオリティの高い偽物が増産されており、海外のインターネット通販で気軽に購入することができてしまいます」(同前)
偽物の時計を扱う中国のインターネット通販サイトでは、より本物に近い時計から「N級」「S級」「A級」とランクごとに販売されており、誰でも容易に購入することができるという。
N級のなかには、技術の進化により、買い取り屋でも中を開けないと本物か偽物かまったくわからないほど質の高いものも存在しているそうだ。