「事件の始まりはずいぶんと前だった」
売掛金の支払いを迫られた伊藤被告は闇金に手を出すなどしてさらなる経済的困窮に陥る。アパートは退出せざるを得なくなり、生活保護も打ち切られた。そしてたどり着いたのが、個人による違法な売春行為だった。
《私は、柏市に住民票だけを残し、ホームレスになった。風俗の出稼ぎに行ったりするも、上手く指名が取れず、地方をウロウロしつつ、結局は都内で違法なウリを始めていた。Twitterや出会い系アプリを利用し、個人で客を取るいわゆる売春だった。1日、1〜3人程集客ができて、店を通さない分、客から受け取ったお金がそのまま利益となった》
その活動の中で、淫らなパーティを主催する人物と知り合い、パーティ界隈の人々とつながりを持つようになった。被害者男性と出会ったのはちょうどその頃だった。伊藤被告は事件について、こう綴って手記を締めくくっている。
《その後のことは、裁判にかかわってくるため書けない。だが、こうして書いてみると、事件の始まりはずいぶんと前だったようにも思えて仕方がない。被害者の方について等についても書けないが、私は自分自身に散々な問題を抱えており、私がこのような情況にいるのは、事件自体が問題ではなくキッカケにすぎないのだと思う。》
伊藤被告は今回の事件について、面会でも手記でも一貫して以下のように反省の弁を繰り返していた。
「私が刺したことで警察の方に迷惑をかけたり、周りの友達に心配させたりしたことは申し訳ないと思っています」
別の手紙では、心の叫びのように以下の言葉が書き記されていた。
《もう誰も私を愛してくれない。誰からも必要とされていない。誰も私に興味がない。死ぬことさえできない。何もできない。全部、私が悪い。苦しい》
初公判は、6月28日に行われる予定だ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班