「前澤社長が関わっている講座だからいいもののはず」と入会

SNS運営会社メタは4月16日に、「著名人になりすました詐欺広告に対する取り組みについて」というタイトルで声明を発表。それによれば、「メタは詐欺広告と弊社ポリシーに違反しない広告とを区別するために広告規定に沿って広告を審査している」「プラットフォーム上の安全を守るため、2016年以降200億ドル以上を投資してきた」「しかし、膨大な広告の中から審査するのは、難しい課題である」としている。

これに対し、国府弁護士はいう。

4月10日、自民党本部で開かれた合同勉強会に前澤氏が出席し、詐欺広告についての見解を話した(写真/サンケイスポーツ)
4月10日、自民党本部で開かれた合同勉強会に前澤氏が出席し、詐欺広告についての見解を話した(写真/サンケイスポーツ)

「メタ社の主張は、『結果回避可能性』(詐欺を予見し回避できた可能性)がないので、注意義務違反にはならないという考え方です。
しかし、訴訟を通じて、広告媒体が偽広告を排除するために何をしてきたのか、広告審査の実態はどうだったのかという事実関係を被害者に対して明らかにしていくことができると思います。この点も訴訟することの意義のひとつです」

そんななか、4月25日、神戸市などに住む男女4人がこのSNS型投資詐欺の被害に遭ったとして、米メタの日本法人「Facebook Japan合同会社」に約2300万円の損害賠償を求め、神戸地裁に提訴した。被害者代表のAさん(42歳男性)は被害について、集英社オンラインに対して重い口を開いてくれた。

「Facebookを見て流れてきた広告を踏んだのは2023年11月6日のことでした。私が見たのは、前澤友作さんが投資の講座を始めるため専門家を雇ったという広告です。広告に表示されていたQRコードを読み取ったところ、Sという投資家につながりました」

QRコードを読み取るとSという投資家のページが表示された
QRコードを読み取るとSという投資家のページが表示された

この人物の名前を検索してヒットするビジネス特化型SNS「LinkedIn」のプロフィールには三つ揃えのスーツを着た男性の写真が掲載されており、「1973年生まれ、ケンブリッジ大学経済学部卒業。Sは、日本の投資専門家であり、金融分野で幅広い経験を持つ人物」と紹介されている。
その他、ブログに金融記事を掲載しており、YouTubeチャンネルがあった形跡が残されている(現在はチャンネルごと削除済み)。

「昨年8月ごろに保険を解約し、まとまった金額が手元に入ったんです。これをどうしようかと考えていたときに、ちょうどFacebook広告を見ました。もともと投資は老後のためのつみたてNISAを細々とやっていました。でも、もう少し勉強をして、他の投資についても学びたいと思い、広告の投資講座に登録をしてみることにしました。前澤友作さんが関わっている講座であればいいものなのではないかと……」