「ビジュアルの均一性を保つ」という要望に応えるには、3Dセルルックが最適
――鳥山先生は『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』推薦コメントで大絶賛されていましたよね。
そうなんですよ! 集英社さんから先生の絶賛コメントをいただいたとき、A4サイズの紙にぎっしりと書いてあってものすごく驚きました。格別に嬉しかったですね。
――僕個人としても、今作は『ドラゴンボール』劇場版の最高傑作だと思いました。しかし、そうした観客目線とは別に、原作者であり脚本も手がけられた鳥山先生は、具体的に本作のどこを気に入られたんだと思いますか?
絵柄の統一感が大きいのではないかと思います。と言うのも、鳥山先生と集英社さんは昔からずっと「シーンごとによる作画のバラツキ感をなくしてほしい」とおっしゃっていたんですよ。要は絵柄の均一感を求められていたということですね。
――なるほど。マンガの場合、基本的には漫画家さんの絵柄で作品全体が統一されますもんね。マンガを主戦場とされているクリエイターからすると、シーンごとに絵柄が変わるのは大きな違和感がありそうです。
アニメ制作者側には「『神作画』展覧会ができれば、シーンごとに多少絵柄が違っていてもいい」っていう気持ちがあるのは事実です。しかし、作画のバラつき感をなくすには、3Dを導入したセルルックアニメというのは、ものすごく相性のいいスタイルだったんです。
――その一方で、アニメファンが「このシーンは○○さんの原画かな?」なんて担当スタッフを推測して楽しむような「神作画」は生まれにくい面もあるということですよね。
そうですね。とくに「止め画」で違いが出てきますね。スーパーアニメーターと呼ばれているような天才の方々による画と比べてしまうと、一枚絵として勝てません。均一な絵柄で動かせるという点では、3Dセルルックの方がアドバンテージは断然強いんですけどね。そこは今後の課題になると思います。