「怒り? 特にそういうのはなく…」

貯金が底をつき、消費者金融からの督促状に頭を悩ませた。民事訴訟で勝訴判決を得ても借金は返ってこず、警察に詐欺ではないかと相談しても、3万円の返済があったことなどから「警察は民事では動けない」と突き放された。八方塞がりの高野被告はこの頃、遺書の下書きをしたためた。その下書きを弁護人が読み上げた。

〈疲れてしまって僕は死のうと思います。私の人生は終わりにしようと思います。やりたい放題の状態が少しでも抑制されこれ以上被害者が生まれないように〉

そして高野被告はインターネットショップでナイフを購入した。

「佐藤さんを傷つけるという思いはありませんでした。デザインがカッコよかったので趣味というか。よくネットで買い物していたので開けた段ボールを細かく切って捨てる日常使いもしていました。自分が死ぬためにも使おうと思っていました。自殺は首吊りかナイフでと思っていた」

事件現場(撮影/集英社オンライン)
事件現場(撮影/集英社オンライン)
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しかし、実際はそのナイフで佐藤さん殺害という凶行に及んだ。その理由を問われた高野被告は、こう答えた。

「佐藤さんが山手線一周するという配信を見て、体か顔を切り付ければ警察の取り調べとか裁判で、彼女が障害者からお金をだまし取っていることを知らせることができると考えました。殺すということは一度も考えていませんでした。当日は朝5時に起きて顔を洗ったりヒゲを剃ったりいつもの朝の準備をしました。

ナイフ2本とバッテリーと携帯を持ち、東京方面に向かい、佐藤さんの配信を見たり聞いたりしていました。山手線一周は投げ銭でサイコロをふり、行先が変わるゲーム性だったので本当に会えるかはわからなかったです。怒り? 特にそういうのはなく、事件が起こせるのかなとか(会えなければ)無理だったらそれはそれでいい、とそんな気持ちでした」

しかし、運命のサイコロは最後に2人を引き合わせ、事件は起こった。被告に求められる刑の重さはいかばかりか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班