失墜した円の国際的価値、その責任は誰が取るのか
日経平均が上がれば、株を持っている人は資産が増えたように感じる。新NISAを始めた国民も、自分の資産が増えていると感じれば、政権への不満は和らぐ。
採用銘柄の業績を押し上げるために円安を容認し、AI・半導体関連には補助金を投じ、国策として株式市場を支える。日経平均株価を高く維持しておくことが、内閣支持率安泰のセオリーであるかのように見えるのである。
私は、もはや日経平均陰謀論と呼びたくなるほど、株価と政治が密接に絡み合っているのではないかと考えている。
今回、国策として推し進めた新NISAを旗印に、円安大誘導、円の4割引き、日本大安売り政策が見事にハマったのだろう。外国人投資家にとっては、これほど分かりやすい相場はない。
日本政府が円安を容認し、国民の資金を市場へ誘導し、補助金でテーマ株を支える。そこへ海外資金が流れ込み、指数はさらに上がる。
だが、その裏側で円の国際的価値は失われ、国民生活は物価高に苦しみ、日本という国そのものが安売りされている。この現実を、我々はもっと冷静に見なければならない。
政府は「責任ある積極財政」と言う。しかし私は、ここで1つ聞いてみたい。ここまで失墜した円の国際的価値や、止まらない物価高の責任は、誰が、どのような形で具体的に取るのだろうか。
そのツケを最後に払うのは政治家ではなく国民
政治家の責任の取り方など、せいぜい辞めることくらいである。しかし、それは本当に責任を取ったことになるのだろうか。私には言葉遊びにしか思えない。
円の価値が失われ、物価が上がり、住宅価格が高騰し、防衛費が膨らみ、生活が苦しくなる。そのツケを最後に払わされるのは政治家ではない。我々国民なのである。
では、この円安は日本に何をもたらしているのだろうか。政府はインバウンドが過去最高を更新したと胸を張る。しかし、それは本当に喜ぶべきことなのだろうか。私は決してそうは思わない。
もちろん観光立国を目指す以上、外国人旅行者が増えること自体を否定するつもりはない。しかし、その理由が「日本は魅力的だから」ではなく、「日本は安いから」であるならば、それは手放しで歓迎できる話ではない。
かつて海外旅行といえば、日本人がブランド品を買い、高級ホテルに泊まり、高級レストランで食事を楽しみ、世界中で爆買いをしていた。













