公共訴訟から結果的に社会が利益を得る
谷口 この本はふだん大澤先生が読まれないような実務解説本みたいな本だと思うんですが、公共訴訟がどんな意義があるかとか、エピソードとか、歴史とか、今後の未来とかということを分かりやすく書いたんですけど、お読みになっていかがでした?
大澤 非常に面白かったです。広く報道されている問題もあるし、全然知らなかった問題もあって、いろいろな例が載っているんですが、まず、この公共訴訟というもののフォーマットというか、基本の考え方は、「ある個人的に深刻な問題から、いかにたくさんのものを引き出せるか」ということですよね。
当局は大体「それは、これだけの問題でしょう?」というふうに言ってくる。でも「これだけじゃないんです」ということで、どこまで拡大していけるかが大切だと思うんです。それを法という形できっちりとやると、公共訴訟という形になるんだなということが、よく分かった。
そしてこの本には個別的、具体的なこともたくさん書いてある。何か訴訟を起こそうとする場合に「誰に頼めばいいの」「いくらかかるの」「どのぐらい時間がかかるの」とか、そういうことがすごく具体的に分かって、とてもためになる。
世の中で何も問題を抱えていない人は、おそらくほとんどいないですよね。その問題の多くが、本当の根っこまで行くと、自分の家族とか個人だけの問題じゃなくて、実は公共的な問題だということを発見する人がたくさんいる気がします。そういう人たちが、また事を起こす。
だから、この公共訴訟というものは、一見、「私」のためにやっているように見えるけれども、実は社会のためにやってくれているんですよね。つまり公共訴訟からは、結果的に社会が利益を得ることになる。でも、まだまだ日本で公共訴訟をする際に、負担を負うのは、その個人と、ほとんどタダ働きをする弁護士だけ、ということになっている。
そういう公共訴訟自体を、社会的にどうやって支援しなきゃいけないか、というようなことを考えることもできるし、非常にいい本だと思いました。














