もはや通貨危機と言っても過言ではない

拙著『アベノミクスによろしく』(インターナショナル新書)が刊行されたのは、2017年10月6日。そこから8年以上が経過した。現在、アベノミクスを継承・発展させた「サナエノミクス」を実行しようとしている高市早苗氏が総理大臣である。

サナエノミクスで国民生活はさらに苦しくなる?(高市氏Xより)
サナエノミクスで国民生活はさらに苦しくなる?(高市氏Xより)
すべての画像を見る

8年前に私が書いたことの「答え合わせ」の時がきたと思う。『アベノミクスによろしく』第7章で、私は未来をこう予想した。

1 日銀が金融緩和をやめる、つまり国債の買い入れをやめると、国債が暴落する可能性がある。
2 国債が暴落すると、円と株も暴落する可能性がある。
3 国債が暴落すると長期金利が上昇し、国の借金返済が余計に困難になる。
4 上記1〜3の事態を避けるため、このまま金融緩和を続けたとしても、どこかで円の信用が失われ、円が暴落する可能性がある。

今は4の途中といったところである。日銀は国債買入額を減額したが、完全にやめたわけではなく、他国と比較すれば異常に低い金利を維持しており、緩和的状況は継続中である。

そして、通貨の真の実力を示す「実質実効為替レート指数」を見ると、すでに円の価値は1970年を下回っている。1ドル=360円の固定為替レートの時代よりも低いということである。

その上、ユーロやスイスフランに対して史上最安値を記録するなど、円はあらゆる通貨に対してその価値を下げている。

もはや通貨危機と言っても過言ではない。この危機をもたらしたのは、直接的にはアベノミクスの副作用である。アベノミクスとは「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「3本の矢」を柱とする政策である。サナエノミクスはその延長線上にあり、この状況を間違いなく悪化させる。

なぜ、多くの専門家がサナエノミクスに警鐘を鳴らすのか。端的に言えば、アベノミクスによって下げられた円の価値を、さらに下げてしまうのがサナエノミクスである。物価は上昇し、国民生活はより苦しくなる。