人気ランキングから業界ごと消滅

私が学生だった頃、テレビ局は就職先として人気がありました。私の周りでもテレビ局にエントリーシートを送っている人がたくさんいましたし、採用試験の会場では、学内の顔見知りを何人も見かけました。

驚いたのは、海外で知り合った学生が、NHKの筆記試験の会場に2人もいたことです。以前、アメリカに語学研修に行った際、現地にいた日本人学生と仲良くなったのですが、そのうちの2人がNHKの採用試験の会場にいて、偶然の再会となりました。このように、テレビ局の採用試験の会場に行けば、あちらにもこちらにも知り合いが見つかる、という状態でした。

かつて人気を博した就活本に、「業界別カイシャ・ミシュラン会社図鑑!」(ダイヤモンド社)があります。業界別に各社の社風や現役社員の本音をまとめたもので、企業のリアルな姿が分かる本として学生に支持されていました。

私が就職活動をしていたころの「業界別カイシャ・ミシュラン会社図鑑!’99地の巻」(オバタカズユキ・石原壮一郎著ダイヤモンド社)を見ると、テレビ局のページには、

「就職内定という宝くじに当たれば日本一の給料とりになれる!!」

という見出しが躍っています。

これは、民放キー局のことを言っているのだと思いますが、民放キー局の場合、NHKよりもずっと採用人数が少なく、その分就職活動での競争も熾烈です。また、民放キー局の平均年収は、日本の上場企業の中でも最上位に位置していましたし、「内定=宝くじ当選」に例えられるのもあながち誇張ではなかったのでしょう。とりわけ、番組制作に関わる部署の人気は高かったはずです。

では今、就職先としてのテレビ局の人気はどうなっているのでしょうか。

企業の就職先としての人気度を測る資料の一つに、「就職人気企業ランキング」があります。出版社や就職情報サービス会社が、学生を対象にアンケートをとり、企業の人気度をランキング化したものです。ここでは、東洋経済新報社の「就職四季報総合版」(2015年版~2026/2027年版)に掲載されているランキングを元に、テレビ局の就職人気度の移り変わりを見てみましょう。

2014年卒から2025年卒までの学生の人気ランキング(総合)を元に、上位100位以内に入ったテレビ局を、一覧で示したデータがあります。

テレビ局の「就職人気企業ランキング」の推移
テレビ局の「就職人気企業ランキング」の推移

まず2014年卒を見ると、14位のNHKを筆頭に、民放各社もキー局のほとんどが名を連ねています。50位以内に限ってみても、NHKのほか、フジテレビ、日本テレビと3社がランクインしており、テレビ局の人気がとても高かったことが分かります。