「金太郎、喧嘩する。」(集英社文庫・コミック版1巻収録)
集団のトップに立つ人間の心得
理想の社長とは一体何か。集団のトップに立つ器とは何なのか。
初めての給料日、金太郎は同僚に連れられて夜のクラブへ向かう。女性たちは金太郎にメロメロで、隣をがっちりキープ。その様子を、明らかにカタギではない人相の悪い連中が恨めしそうに見ている。
やがて女性に指名が入るが、「やあよォ、あそこは墓場じゃないの」と、まさかの指名拒否。この一件から、金太郎は彼らの逆恨みを買うことになる。
ターゲットにされた金太郎は、息子・竜太のために買ったケーキを潰され、頭からビールをぶっかけられる。これに一言、「喧嘩……売ってんだよな……」と呟くと、相手を一撃で仕留めてしまう。
そこから始まるのが、ヤマト建設社員VSヤクザの乱闘劇だ。しかし、この会社の社員がそろいもそろって異常に強い。元空手部の田中、元柔道部の前田らが次々とヤクザを制圧していく。日本最強のサラリーマン集団か、こいつら。
当然、翌日には事態が大きくなる。ヤクザが組長を連れて、集団でヤマト建設に殴り込みに来るのだ。これを引き受けたのが金太郎。一人でも全員を相手にすると豪語する。
ところが、ヤクザの組長の正体は、金太郎がかつて率いていた暴走族の元隊員・椎名だった。椎名は涙を流して再会を喜び、ヤクザたちも引き下がる。彼らもまた、金太郎の器の大きさを感じ取ったようだ。
さて、問題はここからだ。金太郎と田中たちは責任を問われ、社長室へ呼び出される。社長の大島は、責任を取って会社を辞めろと迫る。
これに反発したのが金太郎だ。
「会社の社長ってのは親だろう 子供が不始末おかしたら、てめえの体張ってでも守るのが親の役目だぜ」
「子供たちが泣いてるときに逃げてやがったクソがよォ 何もかも済んだ後で子供いじめか!? 偉そうな口を叩いてんじゃねえ! うすバカヤロォ!」
上に立つ者の器について、金太郎は真正面から噛みつく。
1万人のやんちゃな連中を従えていた元暴走族のトップは、やはり言うことが違う。
もっとも、大島としても、こんな社員がいたらいたで、まあ大変だろう。
とはいえ読者は知っている。金太郎は、売られた喧嘩を買っただけで、自ら進んで問題を起こしたわけではない。正当防衛といえば、正当防衛でもある。
では、どうすればよかったのか。結局は話し合いだ。ちゃんと話し合って、事の顛末を伝えるのが一番なのである……ホウレンソウは、やはりサラリーマンには大切だ。























