マスコミの中でも取り残される
それにしても、10年ほどの間に、なぜこれほどテレビ局の人気が落ちてしまったのでしょうか。10年前と今とでは、就職に対する学生の志向が様変わりしてしまったのでしょうか。この点を分析するために、東洋経済新報社の「就職四季報総合版」のランキングを元に、テレビ以外の業界についても、2014年卒の調査と、最新の調査とを比較し、どのような企業がランキングの上位に顔を出しているのかを調べてみました。すると意外なことが分かるのです。
業界別に2014年卒と2025年卒とを比較したデータがあります。
まず「銀行」を見てみると、昔も今も人気です。みずほフィナンシャルグループ、りそなグループ、三井住友銀行などの主な都市銀行、信託銀行は、新旧どちらの調査でも上位50位以内にランクインしています。「三菱東京UFJ銀行」が「三菱UFJ銀行」になるなど、社名が変わったところもありますが、基本的な顔ぶれは大きく変わっていません。
「保険」も、多少の企業の入れ替わりはありますが、日本生命保険、東京海上日動火災保険、第一生命保険、損害保険ジャパンなど、大手企業がしっかりと上位をキープしています。人気は安定しています。
「総合商社」を見てみると、こちらも人気が高く、伊藤忠商事、三菱商事、丸紅、三井物産、住友商事のいわゆる五大商社は、昔も今も、全社が上位にランクインしています。近年では商社の人気は特に高いと言われており、全体的に順位は底上げされています。
鉄道・航空の大手各社も人気があります。2014年卒と2025年卒を比べると、多少の順位の変動はありますが、全日本空輸、日本航空の大手航空2社と、東京地下鉄、東日本旅客鉄道、東海旅客鉄道の鉄道3社の顔ぶれは、全く変わっていません。
「食品」も、学生に人気のある業界です。生活に身近な商品を扱っていますし、事業の内容がイメージしやすいということもあるのでしょう。味の素、明治グループ、キッコーマン、ロッテ、アサヒビールなどの企業が、昔も今も変わらず、ランキングに入っています。
では、マスコミ業界の人気はどうなっているのでしょうか。実は、テレビ局以外の人気は揺らいでいないのです。広告・出版のランキングを見てみると、2014年卒と2025年卒では、どちらも8社がランクインしています。
広告大手の電通、博報堂はどちらにもエントリーしていますし、集英社、講談社など、出版大手も両方にエントリーしています。何社か入れ替わった企業もありますが、こちらも、基本的な顔ぶれは変わっていません。