「商社の社長秘書」と「深夜のネイリスト」
認知度、そして価格帯も「中東ナンバーワン」と言われるネイリスト・森下ひかるさん。顧客は9割以上が現地のムスリム女性だ。現在はドバイ在住で、現地に住み始めて11年目になるという。そんな森下さんに、ここまでの経緯と、そのクリエイティビティについてきいた。
――現在、ドバイを拠点に世界中でネイリストとしてご活躍されています。学生時代からネイルの専門教育を受けてこられたのでしょうか?
森下ひかる(以下、同) 元々ネイルアートに興味があったのですが、その方面の専門学校に行きたいと両親に相談するも反対されまして…。一旦はネイルアートをあきらめて、大学に進学したんです。
当時から、英語が得意だったので、国際的な学部に進みました。ただ、机の上の勉強は今の仕事には全く繋がっていませんね(笑)。
――ドバイにはどういった経緯で渡ったのですか。
大学を卒業後、ドバイに拠点がある小さな貿易会社に就職しました。現地の交渉役として、「英語が話せる日本人がほしい」ということで白羽の矢が立ち、2016年からドバイに住むことになりました。
当時は新卒のペーペーでしたが、インドネシアにイスラム教徒向けの『ハラル食品(イスラム教の戒律で許された食品)』専用工場が新設されたニュースを見て、すぐに動きました。社長への提案から海外企業へのメール交渉まで自ら行ない、ある大手日系製菓会社の独占販売契約を中東で獲得したのも、実は私なんですよ。
その後、日本の大手商社のドバイ支店に転職し、2019年から2022年まで約3年半、社長秘書をしていました。
――有名商社の秘書から、どのようにしてネイリストになったのですか?
秘書になった2019年あたりから、空いている時間や休みの日に独学でネイルの勉強を始めました。最初の頃は社長秘書をしながら、副業としてネイリストを開始したんです。
――ダブルワークは大変だったのでは? ちなみに、本業の就業規定には触れたりしなかったのでしょうか。
副業時代は、朝4時か5時に起きて2時間はネイルチップを作り、日中は秘書としてフルタイムで働く。夜は深夜までネイルの施術という…。死に物狂いの生活でしたね(笑)。
座っていることが多かったので、運動不足解消と基礎体力を維持するために、オフィスのトイレに行くたびにスクワットを30回したり、個室のドアで懸垂をしたり、非常階段の5階分をハイヒールで上り下りしたりして鍛えていました。
ありがたいことに、そんな副業をしている私のことを、社長や周囲の社員も応援してくれて。とてもオープンな環境だったので感謝しています。
――どのようにしてドバイで顧客を獲得していったのでしょうか。
InstagramやTikTokで現地の女の子に向けて宣伝するぐらいしか方法がなくて…。当時は3500円くらいの安価で、長さ出しなし・アート無制限でやっていましたね。1年くらいして、徐々に顧客がつき始めました。












