住人たちがLINEのグループを立ち上げた 

今年1月23日に中国系の合同会社がオーナー(所有者)になった途端、突然家賃が3倍に爆上げするという通知が届いた板橋区内のマンションには、男女の単身者、夫婦、母娘など20世帯が入居している。10年、20年住んでいる住人もいたが、これまで交流はほとんどなかった。

家賃値上げの通知が投函された後、住人同士が廊下などで会えば、値上げへの対応などを話すようになったが、連携には至らなかった。

70代後半の女性は住人に声を掛け、連絡先を聞いて、輪を広げようとした。しかし多くの住人が日中は働いており、集まる機会がなかなか作れなかった。住人が連携できたのは、値上げ通知から3カ月半後、エレベーターが停止された時だった。

「LINEのグループを作る準備をしていましたが、住人全員の了解がなかなか取れませんでした。しかしエレベーターが停止されるに及んだため、見切り発車でLINEのグループを立ち上げたのです。それまで皆さん個々に動いていましたが、情報が回るようになり、色々なことが分かり始めました。

また、それまで名前も知らなかった住人同士が、下の名前で呼べるようになり、結束が高まりました。LINEのグループは、引っ越しされた人も含めて14名になりました。もっと早く連携できていれば、引っ越してしまう方もいなかったかもしれないと思います」(50代の男性)

住民が受け取った家賃値上げの通知書
住民が受け取った家賃値上げの通知書
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だが新たな問題が起きる。1月末、O社がマンションのオーナーになった時、前所有者の大手不動産系列の管理会社がマンション管理を続けたが、家賃の値上げ通知も民泊も何も認識できていなかった。

3月初旬、民泊にも関わったと見られる池袋のS商事が「貸主代理人」となったが、民泊の阻止と共に、再び、大手不動産系列の管理会社が管理に就いた。

だが5月の連休明けにはこの管理会社が消え、O社の自主管理の形となった。自主管理になると、マンションの廊下など共用部の清掃や、可燃・不燃などそれぞれの日のゴミ出しが行われなくなり、住人がやるしかなくなったのだ。

オーナーが替わってから空き部屋に頻繁に届くようになった“謎の宅配物”
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