「新築マンションの建設は急激に減少している
「最も危機感があるのは郊外だ。今の工事費では供給できなくなる」「土地を買ったものの工事費で収支が釣り合わず着工を見合わせている場所もある。郊外のマーケットは崩壊していく可能性がある」
1月に日本経済新聞電子版に掲載された記事が、不動産や建設業界で話題になっている。発言の主は不動産業界最大手、三井不動産の植田俊社長だというのだから穏やかではない。
発言を裏付けるように、新築マンションの建設は急激に減少している。不動産経済研究所によると、首都圏の2025年の新築マンションの供給戸数は2万1962戸で、統計開始以来、過去最低を更新した。ピーク時から約8割減の水準で、もはや新築マンションは危機に瀕しているといっても過言ではない。
植田社長が口にする通り、マンション供給が落ち込む最大の理由は建築コストの高騰だ。一般財団法人建設物価調査会の調査によると、26年2月の集合住宅(RC造)の工事原価は前年同月比5.9%増加。2015年を100とした指数で143.2となり、過去最高を記録した。
円安に伴う建築資材の高騰に人手不足による労務費の上昇が重なり、マンションを建てるためのコストはかつてないほど高くなっている。
中堅不動産デベロッパーの社員、A氏は「ゼネコンとデベロッパーの関係は完全に逆転している」と肩を落とす。
かつて平成のデフレの時代、マンションのプロジェクトではデベロッパーがゼネコンを選ぶ立場で、ゼネコン側が安値を提示して受注を競っていた。一方、令和のインフレの時代、力関係は完全に逆で、デベロッパーが頭を下げてゼネコンに仕事を受注してもらう立場だという。
売れ残った状態が続く郊外新築マンション
また、そのゼネコンとて盤石とは言えず、サブコンと呼ばれる設備工事業者や職人をあの手この手で手配するという状況で、「これ以上、建築コストが下がる要因がない」(A氏)と断言する。
三井不動産の植田社長が懸念するように、建築費上昇が直撃するのは主に郊外のマーケットだ。例えば、1坪(約3.3㎡)あたりの建築費はかつて100万円前後だったが、現在は200万円を上回ることもざらだ。
70㎡(約21坪)の部屋を建てようとすると、建築コストだけで4000万円以上かかる計算となる。これに土地代や各種経費、デベロッパーの利益を上乗せすると、損益分岐点は5000万円を上回り、6000万円をうかがうようになる。
平均価格が1億円を超えることが当たり前となった現代の東京では6000万円と聞くと安く感じるが、郊外のマーケットは別物だ。
例えば、東京建物が埼玉県ふじみ野市で分譲している「BrilliaCityふじみ野」。最寄り駅から徒歩13分とやや遠いものの、スーパーのヤオコーが隣接し、イオンタウンまで徒歩数分、東京までの所要時間はドアtoドアで1時間強。
条件的には悪くないように見えるが、分譲開始からしばらく経っているにもかかわらず、78㎡の部屋が5000万円以下で販売されており、売れ残った状態が続く。













