「金太郎、人を繋ぐ。」(集英社文庫・コミック版4巻収録)

「1000円貸して」と言ってきた老婆の正体

あなたは、見知らぬ人にお金を貸したことがあるだろうか。

道端で「電車賃が足りない」「財布を落としてしまった」などと声をかけられ、数百円や千円を貸してほしいと頼まれる。そんな場面に遭遇したことがある人もいるかもしれない。

だがその中には、困っている人を装い、人の善意につけ込む「寸借詐欺(すんしゃくさぎ)」という手口も存在するから注意が必要だ。

少額のお金を借りて、そのまま返さず立ち去るというシンプルな詐欺。金額が小さいため被害届も出されにくく、昔から街中で見られる典型的な手口のひとつとされている。

そんな“見知らぬ人にお金を貸す行為”が物語の発端となるのが、『サラリーマン金太郎』第36話だ。

舞台はパチンコ店。水木の様子を見に来た金太郎は、人生で初めてパチンコを体験することになる。そこで突然、ひとりの老婆に声をかけられる。

「ワシに1000円貸してくれんか。勝ったら返すからよ」

見知らぬ老人からの突然の頼み。普通なら警戒する場面だろう。しかし金太郎は、あっさりと貸してしまう。周囲の客からは「金は戻らんよ。あのばあさんのいつもの手口なんだ」と忠告まで受ける。

案の定、老婆はすぐにその金をパチンコで使い果たしてしまい、また金太郎に1000円をたかりにくる。だが金太郎は太っ腹にも、もう一度貸してしまう。ところが、気前のいい金太郎に対して、老婆はなぜか悪態をつく。

やはり“寸借詐欺”をする意地汚い老婆だったのか――そう思わせる展開だ。ところが、この老婆、実はただ者ではなかった。

その後、金太郎は老婆の家に招かれる。そこで明らかになるのが、彼女の驚くべき正体だ。なんとこの老婆、日本の裏社会の資金を一手に動かすほどの大物だったのである。

意図せず、裏社会の超重要人物に気に入られ、パイプを作ってしまった金太郎。

見知らぬ人にお金を貸す――。普通なら、あまりおすすめできる行為ではない。

だが『サラリーマン金太郎』の世界では、その“たった1000円の善意”が、とんでもない人物との縁を生むことになる。第36話では、この老婆のもとで重要人物との再会も描かれる。それでは続きは漫画で。