「金太郎、ライバルに会う。」(集英社文庫・コミック版3巻収録)
金太郎のライバルが登場?
30年前なのに、今の日本そのままじゃないか……。
『サラリーマン金太郎』のワンシーンで、そんな感想を抱かせるのが、元官僚・鷹司誠士の演説シーンだ。
漫画35話から登場する鷹司は、東大卒で元通産省のエリート。民間企業へ転じ、ヤマト建設の幹部として会社の改革を進めようとする人物である。そこで彼が語るのが、日本企業の体質についての痛烈な指摘だ。
「このままつまらぬ規則で内へ固まる政策を取り続けたとき、日本は萎縮し、行きづまり、決定的に競争力を失うでしょう」
バブル崩壊後、日本企業はリスクを恐れ、守りに入りすぎている。規則や前例に縛られ、新しい挑戦を避けるばかりでは、世界との競争に勝てるはずがない――鷹司はそう語る。そして、日本企業は国内だけを見ていてはダメで、アジアをはじめ海外へ積極的に進出しなければならないと訴えるのだ。
今読むと、この指摘はかなりリアルだ。
このエピソードが描かれたのは1990年代。ちょうどバブル崩壊直後の時代で、日本経済はまだ「一時的な不況」と考えられていた頃だった。だがその後、日本は長い停滞期に入り、「失われた30年」と呼ばれる時代を経験することになる。
企業は挑戦よりも安定を選び、組織は硬直化し、世界との競争力を失っていく――。そうした指摘は、今でも繰り返されている。そう考えると、鷹司の言葉は、まるで日本の未来を予言していたかのようにも見えてくる。
そしてこの官僚出身のエリートが耳の痛い正論をズバズバと言い放った後、最後に口にしたのは、なんと金太郎に向けた個人的な一言だった。
「認めてやるよ……俺のライバルであることを……」
いったいこの鷹司という男は何を考えているのか。なぜ金太郎をライバル視しているのか。ぜひ『サラリーマン金太郎』35話で確かめてほしい。























