ゴミを田んぼに投げ捨てる撮り鉄も

なぜ県はこのような対策に乗り出したのか。5日に旧型やくもを撮影しに訪れたというベテラン撮り鉄の30代男性はこう語る。

「当日は朝の7時半にもかかわらず、人気の撮影スポットには200人近くの撮り鉄が集まっていました。そうした場所は警察官が常駐しているので撮り鉄のマナーもいいのですが、穴場では線路内のギリギリまで近寄ったり、畑の中の私有地に堂々と入ったりとマナー違反をする撮り鉄もいた。
三脚が道路にはみ出すなどして車の通行を妨げ、クラクションを鳴らされても、撤収後10秒もたたないうちに同じ位置に再び三脚を立てるなど、反省する様子のない撮り鉄の姿も見られました」

2011年、485系特急「雷鳥」引退時
2011年、485系特急「雷鳥」引退時

沿線で暮らす地元住民たちは、ただのマナー違反ではすまないと、撮り鉄に怒りをあらわにする。

「本当に迷惑しとるよ。あいつらのせいで車は渋滞するし、場所によっては弁当のゴミや空き缶のポイ捨てがひどくてな。

一度、『お前らゴミは捨てるな!』と怒ったことがあるけど、聞く耳持たずって感じで無視するヤツが大半。あいつらの親に『どんな躾してきたんだ!』って言ってやりたいよ」(60代男性)

「近所にいつも他県ナンバーの車が並んでて、そういう車はバス停にもお構いなしで停めるから、バスが定位置に停まれなくて不便なんですよ。警告の看板を立ててもすぐ倒されるし……。

そういう車は次の撮影スポットに行くためなのかわからないけど、小学校の通学時間だろうと60キロとか猛スピードで飛ばして走るから危なくて見てられません」(70代女性)

JR伯備線の線路沿いギリギリで撮影する撮り鉄たち
JR伯備線の線路沿いギリギリで撮影する撮り鉄たち

さらに、沿線で農業を営む70代男性は、撮り鉄を注意した際に驚きの対応をされたという。

「人気の撮影スポットは深夜でも他県ナンバーの車がズラーっと停まっていて、連中はそこで車中泊をして翌日の撮影に備えてる。なかにはアスファルトにガムテープを貼って場所取りしてるやつもいて、何度注意しても無視だ。

それどころか『クソがッ!』と叫んで、剥がしたガムテープを丸めて田んぼに投げ捨てやがったやつがいたんだよ。あの時は開いた口が塞がらなかったね。沿線の農家の人たちはみんなカンカンですわ」