「黄色いビニール袋が被せられ、粘着テープがぐるぐると巻かれていた」
調べによると同日午前7時前に現場付近を車で通りかかった男性が、山間部で煙が出ているのに気づき、連絡を受けた森林組合職員の男性が同8時10分ごろ、駆け込んだ駐在所から「マネキンのようなものが燃えている」と同署に通報した。現場に急行した署員が確認したところ、遺体は両方とも全身が激しく燃えて火がくすぶったような状態になっており、近くに黒こげになった燃料用の携行缶が転がっていたという。
捜査本部は17日、遺体の1人の身元を本籍・東京都台東区で住所・職業不詳、宝島龍太郎さん(55)と発表、もう1人の身元確認を急ぐとともに、司法解剖で2人の詳しい死因を調べている。
現場は那須町中心部の JR東北本線黒田原駅から約11キロ南東に離れた山間部で、土手下約6メートルの河川敷。伊王野地区の集落からも5キロほど離れているため車通りもほとんどなく、周りは山や林に囲まれており、民家もポツポツとしか見当たらない。
第一発見者から知らせを受け、警察に通報した森林組合職員の30代男性が当時をこう振り返る。
「ここ数日、この付近で森林伐採をしていて、第一発見者は下請け業者の社長さんです。僕には『マネキンか人形かよくわからんモノが燃えてる。もしかしたら人間かもしれんから、一緒に確認してほしい』と連絡が入り、午前7時50分ごろに現場に駆けつけました」
このとき、2遺体はまだ燃えている最中だった。
「遺体は、十字になるように横たわっていて、炎が30cmほどメラメラと上がっていました。両方とも頭部にスーパーのレジ袋のような黄色いビニール袋が被せられ、その上から粘着テープがぐるぐると巻かれていました。どちらも黒い衣服を着て身長は160-170cmくらい。下に横たわっていた人は黒いブーツを履いていたので、一人は女性なのかなと思います。でも、ここら辺はめったに人も通らないし、もう少し奥に入ると行き止まりになってそれ以上進めない。ビニール袋が被せられて顔も確認できないので、てっきり不法投棄したマネキンでも焼いたんかなと思ったんです」
しかし、ニオイも含め、それは明らかにマネキン人形とは違うものだった。
「よく見てみると、燃えている胴体から肉を焼いたときに出てくるように血が滲み出ていた。ニオイもプラスチックが焼けたときのじゃなくて、肉が焼けているニオイだったんです。だから下請けの社長と『これもしかしたら人なんじゃない?』という話になって警察に通報して、とりあえず現場近くまで来てもらったんです。そのときも『マネキンが燃えてて』と伝えたあとに『肉が焼けるニオイもして...』と付け加えると、警察官の目の色が急に変わり、燃えている様子を見た瞬間に『これは人ですね』と断言していました。それから警察車両がどんどん来たといった感じです」