「ずっと誰かに認められたかった」
今、思い返すと当時は「売れたい」という思いがとても強かったです。それはなにも、芸能界で一攫千金を狙いたいという「お金のため」ではありません(もちろん、CMの年間契約なんて決まったら、すごく嬉しいですけど!)。「売れたい」という思いの根底には、「誰かに認められたい」という願望が大きく横たわっていたと思います。
自分よりもはるかにかわいい人、スタイルの良い人、才能のある人が大勢集まっているのがモデルや芸能の世界です。生き馬の目を抜くような芸能界では、ちょっとくらい見た目が良くても、すぐに埋もれてしまいます。
よく「モデルになったなんて、女として認められた証しだよね」「女の〝アガり〟でしょ」なんて言われますが、それは違います。
先ほどお話ししたように、『non-no』モデルになってからは、他のモデルさんたちと厳しく比較・評価され、ときに容姿やスタイルについて心無い言葉をかけられることもありました。むしろ芸能界に入らず「ちょっとかわいい女の子」のままでいれは、卑屈な思いを抱くこともなかったように思えます。
思い返せば、幼い頃から親やおばあちゃんに厳しくしつけられ、ときに勉強漬けになるような環境で育ってきました。そのため努力をしたり頑張ったりすることは得意なものの、「自分を認める」といった経験があまりないまま、大人になったのだと思います。ずっと、誰かに認められたかった。
芸能界デビュー直後から、才能あふれるモデルさんたちと一緒にお仕事できたのは、かけがえのない経験ですし、とても恵まれていたと思います。
しかし同時に私にとっては、現実の厳しさを目の当たりにした時期でもありました。この時期の私は、「誰かに認められたい」という思いや葛藤を強く抱いていたのだと、今となっては思うのです。
写真/書籍『岡田紗佳 1stフォトエッセイ おかぴーす!』より