「ようやく一人前になれた!」

圧倒的な輝きを放つモデルさんたちを前にすると「同じ土俵で闘おう」なんて気持ちは、なくなっていきました。当初、まだ高校生だった私は最初の頃こそ「自分もキラキラしたモデルの一員になったんだ!」と浮かれていましたが、そんな思いも消え失せていきました。

表紙はおろか、雑誌の後ろの方にあるページにしか出られない自分に「どうせ私なんて……」と卑屈になった時期もあります。

あくまで一般人として生活していたら「スタイル良いね!」とチヤホヤされても、モデルとしていざ表舞台に立つと、常に周囲と比較され、「あの子はまだまだだね」なんて、扱き下ろされるのは日常茶飯事です。中学生の頃に抱いていた「いつか私も雑誌の表紙になりたい」という淡く甘い夢は、もろくも打ち砕かれていったのです。

「モデルになりたい」という夢が叶ったと同時に「上には上がいる」という現実の厳しさを突きつけられ、焦りも募りました。

錚々たるメンバーの中で、自分にできることは何か―生来、負けず嫌いの私が、まず考えたのが、170cmある長身を活かすことでした。特にスタイル維持やダイエット企画には、万全の体制で臨みました。もともと太りにくい体質でしたが、ボディケアを入念にしたり、コンディションを整えることに気を配るようになったのもこの頃です。

岡田紗佳「雑誌の後ろの方しか出られない自分なんて…」と落ち込むばかりだったnon-noモデル時代。当時、表紙は佐々木希、桐谷美玲、本田翼、波瑠……_2

また、それまでやったことのなかったポージングも、なんとかして様になるように、撮影が終わった後には編集部に立ち寄って、撮影をしたばかりの写真を見せてもらい、編集者の方にアドバイスを仰ぐことも欠かしませんでした。

自宅では、いただいたアドバイスを思い出しながら、ひとり鏡の前でポージングの練習をする日々……。目の前のことを、ひとつひとつやっていくしかありませんでした。

『non-no』モデルになって2~3年が経った頃、「おかぴー(岡田紗佳)の私服」という自分の特集を組んでもらえたときは、「ようやく一人前になれた!」という喜びをかみしめたものです。

この時期は、とても毎日が慌ただしく過ぎていきました。オーディションでグランプリを受賞した翌春には大学に入学、同じタイミングで朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ)にレギュラー出演するようになりました。スタジオ入りは早朝3時半、番組が終わってから、大学で授業を受け、夕方にはスタジオに直行して、『non-no』の撮影……というスケジュールの日もありましたね。今でも「よくやってたな~」と感心します(笑)。